家電機器と多機能な高校英語 ~学習指導要領における「英語」の変遷~


濵中 啓子(東京都立忍岡高等学校)


日本製家電機器はたいへん優秀である。第二次世界大戦後の復興時期、国産品は安かろう悪かろうと言われたこともあったが、高度経済成長期を迎えるまでに性能的に申し分のないものになった。実際、職場の英語科職員室で使用している電子レンジと冷蔵庫は20年、30年の使用に耐え、今も現役である。それらはいずれもいたって単純な作りをしていて、電子レンジは温める機能のみ。冷蔵庫は冷蔵と冷凍の2ドアタイプである。故障しない理由は、そのシンプルさにあるのだろう。


シンプルという言葉で思い出すのは、現行の文部科学省平成30(2018)年告示の高等学校学習指導要領(以下、平成30年要領)で定められている外国語(英語)の科目である。学年が上がるのに合わせて「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」と深化するが、「英語コミュニケーション(以下、英コミュ)」と「論理・表現(以下、論表)」の二種類のみである(専門学科は除く)。ここまでシンプルに科目数が少なかったことが過去にもあったのだろうか。疑問に思い、国立教育政策研究所教育研究情報データベースのサイトで過去の英語の科目について調べてみた。



高等学校学習指導要領における英語の科目の変遷(括弧内の数字は単位数) (https://erid.nier.go.jp/guideline.html)
昭和35年:英語A(9) 英語B(15)
昭和45年:初級英語(6) 英語A(9) 英語B(15) 英会話(3)
昭和53年:英語I(4) 英語Ⅱ(5) 英語ⅡA(3) 英語ⅡB(3) 英語ⅡC(3)
平成元年:英語I(4) 英語II(4) オーラルコミュニケーションA(2) オーラルコミュニケーションB(2) オーラルコミュ二ケーション(2) リーディング(4)ライティング(4)
平成11年:オーラル・コミュニケーションI(2) オーラル・コミュニケーションⅡ(4) 英語Ⅰ(3) 英語Ⅱ(4) リーディング(4) ライティング(4)
平成21年:コミュニケーション英語基礎 コミュニケーション英語Ⅰ コミュニケーション英語Ⅱ コミュニケーション英語Ⅲ 英語表現Ⅰ 英語表現Ⅱ 英語会話
平成30年(現行):英語コミュニケーションⅠ(3) 英語コミュニケーションⅡ(4) 英語コミュニケーションⅢ(4) 論理・表現Ⅰ(2) 論理・表現Ⅱ(2) 論理・表現Ⅲ(2)

以上の調査から、高校英語の科目が二種類のみというのは昭和35年要領と同様だと判明した。ただしそのシンプルさとは裏腹に、英コミュも論表も深化科目で、一つの科目で扱う内容は多種多様だ。英コミュでは、「聞く、読む、話す[やり取り]、話す[発表],書く」の五つの領域を、論表では、「話す[やり取り]、話す[発表]、書く」の三つの領域を扱うことになっている。家電に例えると、「英コミュ」ボタンを押すと五つの機能が、「論表」ボタンを押すと三つの機能が働くようなものか。その扱う量の多さをイメージし易くするために、学習指導要領の「外国語」部分の文字数を比較してみた。


学習指導要領「外国語」部分の文字数
昭和35年:  9,145字(そのうち約3000字はドイツ語とフランス語について)
平成30年: 21,983字

説明部分の単純比較で結論を出すのは多少乱暴であるが、高校英語が扱う内容は約60年で約3倍に増えていると言っても過言ではない。一方、授業に費やす時間は24単位から17単位に減っているのだから、どう考えても、高校英語というボタンに機能を詰め込み過ぎだ。

いくら多機能な電子レンジでも、トーストを焼きながら、ごはんの温めをすることはできない。また、時代が多機能を求めているからと言って、全ての生徒に多機能を求めるのは非現実的だ。日本製の家電や携帯電話が世界市場で優位に立てなかったのは、一つの製品に多機能を追求し過ぎたせいもあったはず。 ひとまず良し悪しは別としても、多機能であることを求められている高校英語。教師は何を教えるのか、どのタイミングでどう導入するのか、何をどのように評価するのか、それらの判断は、結局、教師一人ひとりに委ねられている。だから私は今、英語科職員室で何十年も重宝されてきた単機能の冷蔵庫や電子レンジを横目にしながら、4月からできる限り単純明快に英コミュや論表を教えられるよう、平成30年告示学習指導要領の完成年である2024年度の年間授業計画を立てている。

ATEM(映像メディア英語教育学会)東日本支部 2024年度・夏季例会発表募集

例会日時:2024年5月26日(日)                        

会場:麗澤大学新宿キャンパス

開催形態:対面開催(発表は会場で行います。オンライン発表はありません)

※遠隔参加する聴講者向けに、リアルタイム中継(配信)を検討しています。

対面開催で実施するため、発表者は会場にお越しください。聴講につきましては、会の盛況のためにもなるべく会場にお越しいただけましたら幸いです。

発表募集期間:2024年4月30日まで      

内容:例会テーマは特に固定はせず、各発表内容は発表者に一任いたします。「映像メディア英語教育学会」という学会名が示す通り、各種映像/音声メディアと英語教育が関連していれば受け付けます。領域も授業実践、教材開発、英語教育論(異文化理解教育等を含む)と幅広く捉えていただければと思います。そうした分野やトピックに関するワークショップ(※)のご提案も含みます。ご不明な点などあればご相談ください。

発表時間:発表20分に加え質疑応答5-10分を予定しておりますが、発表数や企画の有無などによって多少調整する場合があります。なお、発表のお願い(採否)については、応募締め切りから1週間程度でご連絡します。

※ワークショップ:発表者がファシリテーターとなり、特定のトピックに関する解説、および聴衆も含めた活動の実施、とお考えください。これまでに実施された例として、映像使用に関する著作権についての理解を深める講義、英語学習アプリの使い方に関する講座、英語で映画を撮る授業の実践体験、映画撮影技術の講座および実践体験等があります。なお、アクティビティなどが含まれる可能性も鑑み、ワークショップの実施時間は20-40分の枠内でご計画ください。

応募方法:以下の必要事項を電子メール本文に掲載し、ATEM東日本支部宛(ej-seminar@atem.org)にお送りください。なお、送信後3日経っても返信がない場合は、再度ご連絡いただけますようお願いいたします。

1.メール表題に「ATEM東日本支部発表申し込み」と記載

2.発表タイトル

3.発表者の氏名(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの氏名)       

4.発表者の所属(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの所属)

5.連絡先(メールアドレス; 複数名で1つの発表の場合はその発表の代表者の連絡先)

6. 使用言語

7.発表概要(日本語の場合は400字程度、英語での発表は200-300 words)

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Call for Presentations at the ATEM Higashinihon Chapter Study Meeting on May 26, 2024

Dear ATEM Members:

ATEM Higashinihon Chapter will hold a Study Meeting at Reitaku University Shinjuku Satelite Campus, on May 26 (Sun.), 2024. We are planning on making the meeting Face-to-face (Presentations will be made at the venue, no online presentations). Also, real-time live broadcast (streaming) is being considered for remote participants, but this is subject to change depending on circumstances, so please check the website for details.

We are calling for presentations on English education (language education) that uses visual and/or audio multimedia including movies, TV dramas, Youtube, etc. Your presentation should focus on class activities, the development of language teaching materials, theoretical or empirical studies, or cross-cultural communication studies, etc. We also welcome proposals for workshops on those fields or topics.

Each presentation will be 20 minutes with 5-10 minutes of Q and A. (This may be adjusted depending on the number of presentations and the related projects. Please note that you will be notified of your presentation request (acceptance or rejection) approximately one week after the application deadline. 

We will contact you about the details later. 

Application Period: To April 30, 2024

Acceptance notice will be sent by email around a week after the application deadline. 

We would appreciate it if presenters could come to the venue as much as possible to avoid possible networking problems. If you wish to make an online presentation from outside the venue, please inform us at the time of application.

When submitting a proposal, please provide the following information by an attached Word file to the ATEM Higashinihon Chapter Office 

(ej-seminar@atem.org). 

1 Please title your email as “ATEM Higashinihon Presentation Proposal.” 

2 Presentation title 

3 Name 

4 Affiliation 

5 Email address

6 Language of presentation

7 Abstract (400 letters in Japanese or 200 to 300 words in English)

「聖なる鹿殺し」(2017) ~秀逸なサイコホラー~

藤田久美子 進学塾TOMAS講師

(*注意:この文章には、物語の核心に触れる部分があります。映画をご覧になってからお読みになることをお勧めします。)

最近「哀れなるものたち」が公開され、いろいろ話題を呼んでいるギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督だが、同監督によるサイコホラー、「聖なる鹿殺し」(The Killing of a Sacred Deer)は、公開(2017)からほとんど7年が経過した現在でも、様々に取りざたされる映画である。ギリシャ神話からヒントを得た、一種の寓話であると言えるかもしれないこの映画だが、見終わった後には、何とも言えない嫌な感じを残す、所謂、“イヤミス”の類の映画である。その“いやな感じ”は、同時に、不気味な感じに繋がっていく。その不気味さとは、結局人間そのものの不気味さなのだが、その不気味さをいや増すために、様々な仕掛けが作られているのだ。

この映画は、心臓の手術という、かなりショッキングな場面から始まる。そしてそのバックに流れるのは、荘厳なレクイエムである。初めてこの映画を見た人は、“一体これはどんな映画なのだろう?”と、一種の怖いもの見たさに駆られて、見続けるのではないだろうか。

映画の主な登場人物は、ある心臓外科医と彼を慕うように見える少年、及び外科医の家族であり、初めのうちは、外科医と少年は一体どんな関係なのだろう、というミステリーが支配する。コリン・ファレルが演じる外科医は、一見したところ如何にも真面目な、家族思いの医者で、全米の心臓外科医の中でも相当な地位についている人物だということが示される。

ニコール・キッドマン演じる美しい妻も眼科医で、一家は二人の子供と共に、郊外の豪邸に住んでいる。しかし、この家族の会話の様子は単調で冷たく、家族の間に暖かい血が通っているようには感じられないのだ。こうした会話の調子は、話が進むにつれて時々流れる不気味な不協和音と共に、この映画の主旋律を作り上げる効果として出色である。

外科医は時々病院に訪ねてくる少年(バリー・コーガン、素晴らしい演技である!)に、かなり高価な腕時計をプレゼントしたりするので、観客は、“少年は医者の隠し子なのか?”と想像するかもしれないが、そうではないことが、物語の中盤ごろに明らかになる。少年は、医者を母と二人で暮らす小さな家に招き、母と彼とを結びつけようとする。頻繁に病院にやってきては、“母は最近魅力的になってきたし、先生を恋している。先生が母と結婚してくれたら嬉しい”などと言って、医者を悩ませる。少年の話には、父親のことがよく出てきて、父親は心臓の病気で死んだようだ、ということがはっきりしてくる。

あまりにも頻繁に自分を呼び出すようになった少年にうんざりし、同時に恐怖も感じるようになった医者に対し、少年は、“先生の子供たちに災いが起きる、それが正義なんだから”と言う。その後、先ず息子が突然歩けなくなり、娘も同じ状態になる。医学的には何の問題もないのに、そんな状態になった子供たちのことを不審に思った妻は夫の同僚の医者(麻酔医)から、夫が少年の父の手術の前に酒を飲んでいたこと、しかも、そうしたことは頻繁にあったことを聞き出す。

何年か前の出来事であり、証拠があるわけでもないが、医者に非があるのは明らかであるのに、彼は少年を家の地下室に監禁して、殺そうとさえする。その間にも、少年の予言の通り、息子の両目からは出血が始まる。医者を脅迫する少年は、家族の誰かを殺せば、何もかもが元に戻ると言う。恐ろしい少年の脅迫の言葉を聞いた医者夫婦の関係は最悪になる。妻は夫を“元はと言えば、皆あなたのせいだ”と言って、夫をなじるが、同時に、まるでマクベス夫人のように、夫に恐ろしいことを囁く。

「残酷だけど、息子に犠牲になってもらいましょう。私たちは、また、子供が作れるし、体外受精も可能だわ。」 ”I believe the most logical thing, no matter how harsh this may sound, is to kill a child. Because we can have another child. I still can and you can.  And if you can’t, we can try IVF, but I’m sure we can.”  (IVF=体外受精)

そして、遂に、医者は、家族皆を居間に集め、自分にも家族にも目隠しをして、銃を構えてぐるぐる回り、最後に息子を殺してしまう。この場面は、“家族の誰かを殺す”という、信じられないほど悲惨な、悲劇的な場面のはずなのに、何故か滑稽ですらある。何故なら、最も罪あるものであるはずの夫が、罪なき子供を殺すことになるのに、それほど苦しんではいないように見えるからだ。自分の行為が原因で子供たちが苦しむのだから、普通は、何よりも自分自身を責め、ひたすら後悔すべきではないだろうか。そして、少年に対して心から謝罪すべきではないだろうか。

最後の場面は、町のダイナーで食事を済ませた医者の家族が、少年を見かけて、何も言葉を交わさずに、店を出ていくところである。もちろん、息子の姿はもうない。家族は息子の命を犠牲にして生き延びたのだ。しかし一体、このままですべて終わりだろうか、という疑問が残る。いや、決してこのままでは終わらないだろうと誰もが感じるはずである。

少年は、ギリシャ神話の、宿命を司る神モイライの化身であろうか?ともあれ、この話は、一種の風刺的なファンタジーであろう。予言通りのことを実現させる少年も不気味だが、医者とその妻こそ不気味だという感じがぬぐえない。さらに言えば、自分さえよければ、と考える人間こそ、不気味なのだ。

“それぞれの関係が真の愛に基づいたものではないことを如実に示す、抑揚のほとんどない会話”、“宿命の神の手(あるいは悪魔の手)が下される時に流れる不気味な不協和音”、“やり場のない不安に駆られているのに無表情な医者夫妻”、そして何より、“医者夫妻をじりじりと恐怖に陥れる少年の存在”などが、この映画のサイコホラーの重要な要素として挙げられるであろう。

監督が意図したと言われるギリシャ悲劇との関連などが今一つはっきりしないなど、作品としての出来という点では十分ではない点もあるが、優れた脚本とこうしたサイコホラー要素、そして勿論、俳優たちの優れた演技に支えられて、この映画は、“罪と罰、“職業意識”、“家族の関係”、“経済的格差”等の問題、そして何より“人間とは何か?”についてのメッセージを見るものに突きつける、見ごたえのある映画に仕上がっている。

    

Active Learning by Utilizing a Film About a Gifted Child


Mikako Nobuhara (Nagaoka University of Technology)



In 2022, the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology announced that it will support gifted students. Gifted students tend to reach an IQ of 130 or higher and often have specific talents such as prodigious memory, artistic skills, and computing power in math.

Unfortunately, schools in Japan do not offer suitable approaches that encourage the individual growth of this group of children. Therefore, acquiring sufficient knowledge about this topic and implementing the best teaching for these students are essential for teachers and future teachers.

Today, as an introduction to achieving the first step for an enhanced understanding of gifted children, I would like to propose using films is one of the most effective methods for elucidating the nature of gifted children and what their teachers should do for them.

As a potential activity, I strongly recommend “Gifted (2017),” which was launched by 20th Century Fox Home Entertainment. The main character Frank is dedicated to raising his young niece, Mary, a gifted child. The storyline of this movie is based on family bond and love in which Frank and Mary are building their relationship through various events around them.

     This activity might be most useful at the university level. Especially for students who aim to become a teacher in elementary schools, I recommend promoting active learning as a method for consciousness-raising.

First, the teacher asks students to answer questions about the talent that people tend to possess and the meaning of “gifted.” In class, the teacher divides students into groups of three and gives them time to share comments with all group members. In the discussion, students should listen very attentively and accept their opinions. The leader then presents the group’s ideas to the class. When students work on activities in an interactive manner in the following activities, I predict that they will continue learning comfortably in the same manner.

As another activity, students will watch a certain scene selected by the teacher and a consciousness-raising activity focusing on the feelings of Mary and Fred in the scene will also help students deeply consider which decision is suitable for Mary for doing well in school. They can also determine the model teaching method for her and a suitable learning pattern for each subject. University teachers should be very careful to avoid instilling a one-sided idea about gifted children in other non-gifted students. Screenplay often includes dramatic scene in films which may not match real-life situations. Therefore, teachers need to make some adjustments when addressing similar social topics.

Through various activities in class, such as those previously mentioned, preservice teachers will be equipped to employ better approaches for gifted children. In the future, I strongly hope that more people will understand that building a better society for each person, including gifted children, is crucial for achieving a bright future, where everyone is respected. One method toward this end is the use of films.

Using the work of Banksy within the EFL classroom

Barry Kavanagh (Tohoku University)

Banksy is an enigmatic and prolific street artist who rose to prominence in the early 2000s

with his thought-provoking creations that blend social commentary, satire, and wit.

Many of Banksy’s pieces carry a strong social or political message. He often addresses issues such as war, poverty, government surveillance, and corporate greed. Banksy’s art has reached a global audience and has appeared in various cities worldwide. Despite his anonymity, his impact on the art world and popular culture is significant.

Banksy’s work is primarily found in public spaces like walls, bridges, and buildings. This choice of canvas allows his art to be accessible to a wide audience, transcending the traditional confines of galleries and museums. However, this has sparked debates about the role of street art in contemporary society, the boundaries between vandalism and art, and the power of visual communication to convey important messages.

His artwork can provide an interesting and engaging topic for an ESL class, especially at the University level. Utilizing Banksy’s work can help students explore various aspects of language, culture, and critical thinking. Most university students have heard of Banksy and are familiar with some of his more popular and famous artwork, including “Mobile Lovers” (2014), which depicts a couple embracing while checking their smartphones. It comments on the impact of technology on human relationships. “The Flower Thrower” (2003) is another iconic piece that shows a man in a rioter pose, but instead of throwing a Molotov cocktail, he is throwing a bunch of flowers. It’s a powerful image that contrasts violence with beauty. “There Is Always Hope” (2002) is another one of his famous works, which you can find sold as merchandise. Often referred to as the “Balloon Girl,” this image features a girl letting go of a balloon with the words “There Is Always Hope” next to her. It’s a widely recognized symbol of optimism.

Using Banksy’s art in the ESL classroom can be a creative and engaging way to teach students how to make inferences and learn about connotative vocabulary in context. Banksy’s works often contain social and political messages, making them rich material for discussion and possible interpretation. Students can be pre-taught the vocabulary and the background context needed to interpret his work and then make inferences based on what they see in his artwork, along with the student’s prior knowledge that they bring to their exploration of his artwork.

Students can also be provided with original reading passages covering the polarizing nature of Banksy’s work into passages that praise and are critical of him. It is a good opportunity for students to see how positive and negative connotations are used in context to convey opinions and interpretations of his work. For example, the social commentary of Banky’s work is sometimes described as insightful, but is it thought-provoking or superficial and simplistic? Students can also use such vocabulary to formulate their own opinions, and it lends itself well to student discussion and opinion essays such as ‘Banksy is just a vandal. Do you agree or disagree?

I have used Banksy’s work in the above ways, and students have found it engaging and interesting. If the activities are adequately scaffolded and level-conscious, it can give students a chance to express themselves as well as review language skills such as making inferences and using positive or negative connotations in context.

With the advancement of globalization, one of the objectives of Japan’s Ministry of Education, Culture, Sport, Science and Technology (MEXT) is to nurture globally-minded university graduates who excel in English communication, media literacy, and critical thinking skills.

The emphasis, therefore, is on developing students’ ability to think and express themselves in English. The focus is not only on their acquisition of knowledge of the English language but also on what they can do in English. Using works such as Banksy’s, which address many contemporary and global issues, can challenge students both cognitively and linguistically.

第14回ATEM東日本支部大会プログラム  14th ATEM Higashi Nihon Chapter

2023年12月17日(日)

第14回 ATEM(映像メディア英語教育学会)

東日本支部ハイブリッド支部大会プログラム

14th ATEM Higashi Nihon Chapter Hybrid Conference 12/17/2023

場所:麗澤大学新宿キャンパス 新宿アイランドタワー44104号室

https://www.reitaku-u.ac.jp/about/access/

Place: Reitaku University Shinjuku Satellite Campus

Shinjuku I-Land Tower 4F Room 4104

オンラインでご参加/ご発表の場合、お名前とご所属(ATEM支部名)をお示しください。会員でない方はお名前とご所属をお示しください。

If you would like to present and/or join the meeting online, please indicate your name and ATEM chapter. If you are not an ATEM member, please indicate your name and affiliation.

Zoomミーティング ID: 835 0882 1568  パスコード: 364839

Zoom ID: 835 0882 1568 Pass code: 364839

参加 Zoom ミーティング

https://us06web.zoom.us/j/83508821568?pwd=vAD6WrQBSXBXLlSctFTcc6ttRaUN4Q.1

当日何かご連絡が必要な場合はatemhn20@gmail.comにお問い合わせください。

If you need to contact us on the day, please email atemhn20@gmail.com

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 *12:30 ~ 12:50 Zoomのリハーサル(*希望者のみ)

  Zoom Rehearsal for Presenters (Voluntary)

    13:00~13:20 開会と支部総会(Opening & General Meeting)

113:30~13:50  三村仁彦(帝塚山大学 全学教育開発センター)

動名詞の意味上の主語における所有格・目的格交替について

—映画・ドラマ字幕コーパスからのデータに基づく分析と一指導案—

人称代名詞が動名詞の意味上の主語として生じる場合,本来の形である所有格の代わりに目的格の形をとることがある。

(1) If you don’t mind me asking, when does Your Highness think we’re going home?

『白雪姫と鏡の女王』(Mirror Mirror, 2012) <00:08:37>

この点について,多くの総合英語教材では,Would you mind my[me] …?に代表される人工的な例文と共に「目的格は話し言葉で見られる」といった趣旨の簡単な説明が付されるのみで,その具体的な比率や,典型的な生起パターンなど,その実情が判然としない部分も多い。そこで本発表では,英語会話コーパスの一種である「KUFS映画・ドラマ英語データベース」を利用して,動名詞の意味上の主語における所有格・目的格の交替についてより詳細な分析・記述をおこない,上記の問題をクリアした用例と解説を提示することで,今後の効率的な学習および指導に寄与することを目指す。 

                           Q&A: 13:50~13:55 

214:00~14:20  Sachiko NAKAMURATohoku University

Creation of Video Materials for Learning and Retaining Collocational Knowledge

  The importance of learning L2 collocations has been well-documented (e.g., González-Fernández & Schmitt, 2015). Despite the significance, mastering collocations poses a challenge for L2 learners, particularly due to the incongruence between L1 and L2 (e.g., Yamashita & Jiang, 2010). To facilitate L2 English learners to learn and retain collocation knowledge, ultimately making it productive knowledge, the development of effective materials is essential. This presentation explores: 1) why video materials are suitable for learning collocations, 2) considerations for creating the material, and 3) how we can create and share video materials with learners using free websites and applications. The text and audio in the material are provided according to the following procedure (the target collocation in this example is “bear a resemblance”):

1. Full sentence (text – English & Japanese, audio – English): “The ancient artifact bears a resemblance to those found in neighboring regions.”

2. Pause for learner repetition

3. Repetition of 1) & 2)

4. First chunk (text – English & Japanese, audio – English): “The ancient artifact”

5. Pause for learner repetition

6. Second chunk (text – English & Japanese, audio – English): “bears a resemblance”

7. Pause for learner repetition

8. Third chunk (text – English & Japanese, audio – English): “to those found in neighboring regions”

9. Pause for learner repetition

10. First chunk (no text information, audio – English)

11. Pause for learner repetition

12. Second chunk (no text information, audio – English)

13. Pause for learner repetition

14. Third chunk (no text information, audio – English)

15. Pause for learner repetition

16. Full sentence (no text information, audio – English)

17. Pause for learner repetition

18. Repetition of 16) & 17)

The learners’ reactions to the material are also introduced in the presentation.

                           Q&A: 14:20~14:25 

3.14:30-14:50   Christopher R. Cooper (Rikkyo University

Supporting an English through movies course with an IMDb review corpus

     When teaching a course without a textbook, a corpus can be a useful tool

to provide language support to L2 users. Recently, there are an increasing number

of open-source datasets available, providing access to large bodies of texts from

various registers. In the current study an open-source dataset of 25,000 positive

and 25,000 negative online movie reviews was used to provide language support

to university students on an ‘English through Movies’ elective course. AntConc

was used to extract keywords from the positive reviews, using the negative

reviews as a reference corpus, then the opposite was done for negative reviews.

Only giving students a list of words may not be the ideal kind of support, as no

indication about usage is given. Therefore, the ‘order by frequency’ setting was

used in AntConc’s KWIC tool to find frequently occurring phrases and patterns.

Documents were provided to students based on the corpus analysis to help them

write movie reviews, have discussions and give presentations. In addition, several

activities were constructed using the positive and negative language. In this

presentation the keyword extraction process will be explained, and example

materials and tasks will be shared, along with reflections on their use in the

classroom.

      Q&A: 14:50~14:55 

 Coffee Break 15:0015:25

415:25~15:45   山本五郎(法政大学)

 Well-beingをテーマにした英語総合教材の開発

本発表では、Well-beingをテーマにした英語教材開発の実践報告を行う。ウェルビーイングは昨今様々な文脈で見聞きすることが増えており現代のキーワードの一つである。ウェルビーイングは端的に言えば「健康で幸福な暮らし」を意味するが、社会基盤が整った日本ではどのような要素がウェルビーイングを構成するのか日頃意識して考える機会がない学習者も多い。今回取り上げる教材では、ウェルビーイングについての知識を深めるとともにニュース動画を用いて学習者の問題意識を高めることを目的としている。

本発表では、2024年に出版予定の教材について、ユニットの構成、ユニット内の各セクションの内容と狙い、問題形式、ニュース動画・画像素材の選定、オンライン情報とのリンクなどについて概観し、その企画・開発や活用上の特性に関してMayer and Sims (1994)の評価基準に沿って説明する。

今回報告する教材開発は、折しもChatGPTの普及とその語学学習への活用が取り沙汰された時期に行われた。教材は生成AIの活用を主軸に据えたものではないが、発表ではChatGPTを用いた発展的学習の可能性についても言及する。

       Q&A: 15:45~15:50

516:00-16:20  塚田三千代(翻訳/映画アナリスト) 

 映画『CATS』(2018)の分析と英語教育への運用― Jellicle Cats の合成語

 物語は1930年代後半のロンドン・ソーホー地区のゴミ捨て場に、白い子猫が人間に捨てられた場面から始まる。そこは‘ジェリクルキャッツ’族が支配する場所である。ミルクバーの文化がある。手品師の奇跡技…鉄道猫のタップ…グリザベラ猫の徘徊…Heaviside Layer 旅への憧憬… 終盤は英国ロンドンのトラファルガー広場に集まって、白石のオベリスクを遠景にライオン像の傍で、仕事もゲームも楽しむ誇り高き猫たちと 「交際するルール」 を、歌唱して閉じる。発表ではミュージカル映画CATSの概要、‘ジェリクルキャッツ’の多様性、原作:T. S. Eliotの “The Naming of Cats”、‘ジェリクルキャッツ’歌唱コンテスト場面の名曲“Memory”を生成する。文化遺産と伝播、等を説明し、JellicleやHeaviside Layerの合成語やWイメージによる言葉遊びの社会風刺も言及する。

      Q&A: 16:20~16:25 

   

616:30~16:50  Yoshikazu NISHIATEM Hokkaido

 How to make lesson plans for new exam

The Hokkaido public high school entrance exam has already changed dramatically in 2022. Accordingly, the university entrance exam will change radically once again in 2025.

Because we need creative young people in Japan, the Japanese educational ministry wants to improve school lessons now. Therefore, schools must create new, more active lessons to foster a more adaptable workforce. Previously, the world needed young people who had enough knowledge. However, creative people who can think outside the box and adapt quickly are increasingly required.

As a result, school teachers have to change their lessons to encourage this different way of thinking. However, it is very challenging to change our teaching habits.

In this presentation, I would like to do two things.

First, I will show you a real example from high school entrance exams in Hokkaido from 2023. Then, I will explain what makes this a creative exam.

Second, teachers have to adapt their lesson plans for this new type of exam. Therefore, I will demonstrate some ways to encourage student adaptability with examples.

                                    Q&A: 16:50~16:55 

7 17:00-17:20  高橋亮太(兵庫県立大学4年) 

 シャドーイングと『ボス・ベイビー』(2017)による英語教育の検証実験

本発表は、2023年7月に行った映画『ボス・ベイビー』(2017)を用いたシャドーイングの検証実験についての結果のレビューを行う。2022年12月は『ボス・ベイビー』(2017)について、物語の構造と台詞の観点から分析し、数多くのアカデミアの先生方から英語研究の意義、英語研究の進め方などコメントやご助言をいただき、その中でも「どのようにして教育の場に活かすか」について着目した。兵庫県立大学国際商経学部グローバルビジネスコースの学生計50名を対象に検証を行い、それに対するレビューのアンケート調査を実施し比較を行った。本発表ではそこから得られた結果を分析し、主に①シャドーイングを用いる効果、②アニメーション映画を用いる有効性について述べる。本発表後は、『ボス・ベイビー』(2017)に限らず、他のアニメーション映画(主にドリームワークス・アニメーション)の教材化の可能性についても今後検討していきたい。

      Q&A: 17:20~17:25 

17:30~17:35  閉会 (Closing)

映像メディア英語教育学会(ATEM)東日本支部      第14回支部大会発表募集

日時:2023年12月17日(日)                        

会場および開催形態:麗澤大学新宿キャンパスおよびハイブリッド

発表募集期間:2023年11月12日~12月3日(日曜)      

内容:例会テーマは特に固定はしておりません。「映像メディア英語教育学会」という学会名が示す通り、各種映像/音声メディアと英語教育が関連していれば受け付けます。領域も授業実践、教材開発、英語教育論(異文化理解教育等を含む)と幅広く捉えていただければと思います。ご不明な点などあればご相談ください。

発表時間:発表20分+質疑応答5〜10分を予定しておりますが、発表数や企画の有無などによって多少調整する場合があります。なお、発表のお願い(採否)については、応募締め切り後、数日程度でご連絡します。

会場外からのオンライン発表を希望される方は発表申し込み時にお伝えください。

応募方法:以下の必要事項を電子メール本文に掲載し、ATEM東日本支部宛

ej-seminar@atem.org)にお送りください。なお、送信後3日経っても返信がない場合は、再度ご連絡いただけますようお願いいたします。

1.メール表題に「ATEM東日本支部発表申し込み」と記載

2.発表タイトル

3.発表者の氏名(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの氏名)       

4.発表者の所属(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの所属)

5.連絡先(メールアドレス; 複数名で1つの発表の場合はその発表の代表者の連絡先)

6. 使用言語

7.発表概要(日本語発表の場合は400字程度、英語発表は200-300 words)

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Call for Presentations at the 14th ATEM Higashinihon Chapter Hybrid Conference on December 17 (Sun), 2023  

Dear ATEM Members:

ATEM Higashinihon Chapter will hold the 14th Chapter Hybrid Conference at Reitaku University Shinjuku Satellite Campus on December 17 (Sun.), 2023.

We are calling for presentations on English education (language education) that uses visual and/or audio multimedia including movies, TV dramas, Youtube, etc. Your presentation should focus on class activities, the development of language teaching materials, theoretical or empirical studies, or cross-cultural communication studies, etc. 

Each presentation will be 20 minutes with 5 to 10 minutes of Q and A. (This may be adjusted depending on the number of presentations and the related projects. Please note that you will be notified of your presentation request (acceptance or rejection) in a few days after the application deadline. 

We will contact you about the details later. 

Application Period: November 12(Sun) to December 3(Sun), 2023

If you wish to make an online presentation from outside the venue, please inform us at the time of application.

When submitting a proposal, please provide the following information by an attached Word file to the ATEM Higashinihon Chapter Office 

(ej-seminar@atem.org). 

1 Please title your email as “ATEM Higashinihon Presentation Proposal.” 

2 Presentation title 

3 Name 

4 Affiliation 

5 Email address

6 Language of presentation

7 Abstract (400 letters in Japanese or 200 to 300 words in English)

玄関ギャグについて考える

中村 佐知子(東北大学 高度教養教育・学生支援機構 講師)

吉本新喜劇の桑原和男さんが亡くなりました。87歳の大往生。幼い頃に見ていた吉本新喜劇のスターの方々(島木譲二さん、チャーリー浜さん、井上竜夫さん、中山美保さん…)の訃報を、ここ数年、聞くことが多くなりました。当たり前のようにテレビで見てきた芸人さんが鬼籍に入られるのは、やはりとても寂しいものです。

桑原和男さんと言えば、玄関ギャグとでも言うべきこのギャグが有名です。

「ごめんください」

「どなたですか」

「〇〇〇〇〇です」

「お入りください」

「ありがとう」

(共演者全員コケる)

一連のやりとりを、桑原和男さんが全て一人で演じてしまうのが面白さのポイントです(ギャグを説明するのは非常に無粋で、なんだかムズムズしますが)。このように、分かり切ったお決まりの展開を愛でるのが、吉本新喜劇の典型的な楽しみ方です。

英語にも定番玄関ギャグが存在します。それがknock knock jokesです。その中でも最も有名なもののひとつを紹介します。

Mike: “Knock, knock!” (トントン)

Patty: “Who’s there?” (そこにいるのは誰?)

Mike: “Lettuce.”(レタス)

Patty: “Lettuce who?” (レタス・何さん?)

Mike: “Lettuce in. It’s cold out here.” (中に入れてよ。外は寒いんだ。)

いったい何が面白いのでしょうか。またしても、無粋ながらこのギャグを簡単に解説致します。

Mike: “Knock, knock!”

Patty: “Who’s there?”(“Knock, knock!”に対して必ず”Who’s there?”と聞き返すのがお決まり。)

Mike: “Lettuce.”

Patty: “Lettuce who?”(聞こえた語に”who?”をつけて聞き返すのがお決まり。Lettuceをファースト・ネームに見立て、ファミリー・ネームは何かを尋ねている。)

Mike: “Lettuce in. It’s cold out here.”(この部分がオチ。)

“Lettuce in.”と “Let us in.”がpun(ダジャレ)になっています。場面が玄関であること、そしてお決まりのフレーズが使われることから、桑原和男さんの「ごめんください」ギャグを妙に想起させます。

knock knock jokesが、映画やドラマで使われることもあります。『The Office』公式YouTubeチャンネルにアップされているワンシーンを見てみましょう。

Knock Knock  – The Office US https://youtu.be/ez6Xdf_p7Yg @YouTubeより

Michael: Knock, knock!

Pam: Who’s there?

Michael: Buddha.

Pam: Buddha who?

Michael: Buddha this bread for me, won’t you?

Buddha(仏陀)とbutter(~にバターを塗る)がpun(ダジャレ)になっています。knock knock jokesという定番玄関ギャグがある、という背景知識があってこそ楽しめるシーンだと言えるでしょう。このknock knock jokesからはbutterの動詞用法も学ぶこともでき、映画やドラマは学びの宝庫であるとの認識をさらに深めさせてくれるシーンでもあります。

大人気ドラマ『The Big Bang Theory』のメインキャラクターの一人であるSheldonも、定番玄関ギャグの使い手です。

(knock, knock, knock) “Penny.”

(knock, knock, knock) “Penny.”

(knock, knock, knock) “Penny.”

アパートの向かいの部屋に住むPennyを訪ねる際、Sheldonはドアを3回ノックした後「Penny」と呼び、さらに必ずこれを3回繰り返す、というのがお決まりです。Sheldonの偏執的な性格がよく表れており、思わずにやりと笑ってしまうシーンです。

玄関は、コメディーの世界に生きる人を惹きつけて止まない磁場のような場所なのかもしれません。今回は、桑原和男さんの訃報に触れ、玄関ギャグについて考えてみました。

ATEM東日本支部 第2回 東北特別研究会のお知らせ

日時:      9月23日(土曜日)、13:00〜17:30

会場:      仙台協立第一ビル 4階(4E)

              仙台市青葉区国分町1丁目8-13 map

              地下鉄南北線「広瀬通駅」より徒歩7分

Date:     September 23rd (Sat.), 2023

Place:    Sendai Kyoritsu Daiichi Building 4th floor (4E)

              1-8-13 Kokubunsho, Aoba-ku, Sendai map

              7 minutes on foot from the Hirose-dori Station on the Subway Namboku Line

13:00

開会あいさつ

13:10-13:30

中村 佐知子(東北大学)

桜井 静(東北大学)

ChatGPTを活用したアカデミック・ライティング―学習者の気づきを促す指導

概要:2022年11月にOpenAI社が公開したChatGPTは、英語学習に革新的な変化をもたらすことが期待されている。それに伴い、関連研究が急ピッチで進んでおり(e.g., Mizumoto & Eguchi, 2023; Takenouchi, 2023)、英語ライティング添削の補助ツールとしても着目されている。当発表では、2種類のライティング(オピニオン・ライティング、サマリー・ライティング)の添削ツールとしてChatGPTを使用した授業実践例を紹介する。学生は、自分の書いたものをChatGPTで分析し、表示される「改善のためのコメント」や「改善されたライティング」を読み、「どうすればより良いものが書けるか」について自己分析を行った。この課題では、『英語教育の哲学的探求3』( https://yanase-yosuke.blogspot.com/ )で公開中の「学術英語ライティング添削・改訂プロンプト」を使用した。事後アンケートから、学習者が個別で具体的な校正ポイントを学び、語彙や文構造などへの洞察が深まったと感じていることが分かった。

<Q&A 13:30-13:40>

13:45-14:05

日影 尚之(麗澤大学)

映画 Notting Hillーロマンチック・コメディーの系譜と境界の攪乱

概要:このロマンチック・コメディーは、ハリウッド・スターAnna Scottのメディア映像で始まり、もう一人の主人公Williamも映画などを通してAnnaを知ってはいるが、別世界の女性、 “heavenly” =「天の」/「美しい」女性と見ているようだ。そのAnnaが、まるで天上界から降りてきた(?)、または世界を隔てる壁の向こうから飛び出してきたかのようにWilliamの生活圏に飛び込んでくることで物語が動き出す。

 Antony Johae (2009)も示唆するように、Anna がactress、Williamがとっさに別人のふり(演技)をしたり、劇中劇のようにWilliamやAnnaが映画を見たり、演じる者と見る者(舞台と観客)、フィクション(映画)と現実の境界が曖昧になるようなモチーフが見つかりそうである。 主にJohaeに依拠しながら様々な境界/壁の攪乱について考察できればと思う。 

<Q&A 14:05-14:15>

14:20-14:40

大月 敦子(専修大学)

「動詞キューワードで学ぶアクティヴラーニング英会話ワークブック」基礎編の開発

概要:どのようにしたら自分の言葉で英語が話せるようになるのか?それは動詞をCue Word(キューワード)として利用することで可能になると本研究は考えている。Cueとは、映画や舞台等での台詞の出だしとなる言葉のことをいう。ではなぜ動詞なのか?なぜなら英語の文は、動詞を中心に組み立てられているからだ。つまり動詞が決まれば、主語、目的語、補語等が、さらに形容詞や副詞などの修飾語も決まってくるのである。動詞Cue wordを見ただけで、英文が頭の中で組み立てられるという訳だ。実に理に叶った学習法といえる。そして暗記に頼らず考えながら英語を自分の言葉で話す力をつけることによって、英会話の応用力・汎用力が期待できると考えている。本研究によって開発された「動詞キューワードで学ぶアクティヴラーニング英会話ワークブック」基礎編を紹介する。

*本研究はH25~H27年度科学研究費助成金基盤研究(C) 課題番号25370655による研究成果の一部である。

<Q&A 14:40-14:50>

<<Tea Break 14:50-15:10>>

15:10-15:30

Barry Kavanagh (Tohoku University)

Unlocking the Power of ChatGPT: Navigating the Promises and Perils for Teachers in Second Language Writing assessment

Abstract: The existing body of research within the field of English language education and Artificial Intelligence demonstrates the potential of AI to enhance students’ speaking skills, bolster reading comprehension, and boost motivation. Yet, little emphasis has been placed on the teacher’s viewpoint in the context of AI, and investigations into ChatGPT’s role as a writing assessment tool remain at an early stage of development. This study investigates the promises and perils of ChatGPT in assisting teachers with assessing student academic writing at a Japanese university.

Students were given an agree/disagree essay question based on the TOEFL Independent writing task’s principles that asks them to provide their opinion on a given topic. The teacher graded the student essays with reference to TOEFL’s Independent Writing Rubric. This was followed up with an experiment to assess how ChatGPT would evaluate the essays using the same rubric. 

Although ChatGPT followed the evaluation rubric well and showed significant improvement with relevant prompts, mistakes, and occasional disparities between the human rater and ChatGPT were made. Given these disparities, it remains essential to underscore the importance of maintaining a human-centered approach in AI-enhanced formative assessment. ChatGPT can offer valuable support but should not be seen as a complete substitute for the human rater.

<Q&A 15:30-15:40>

15:45-16:05

小泉 勇人(東京工業大学)

“How do civilized human beings participate in destructive, inhumane acts?”ー 映画Experimenter(2015)で学ぶミルグラム実験 ー

英語教育で用いる映画には娯楽性が期待されることも多いが、CLILの観点からは、社会の諸問題や歴史をヴァーチャルに体験する英語教育も可能であろう。例えばヴェトナム戦争(深津、2017)、アメリカ資本主義(横山、2020)、ジェンダーロール(吉村、2022)に注目した内容言語統合型学習の研究が進められてきている中、当発表では社会心理学を主題とする映画Experimenter(2015)に注目する。かつてハンナ・アーレントがナチズムに見た「悪の凡庸さ」を心理実験で実証しようとするStanley Milgram博士の半生を描く本作であるが、本発表の狙いは、これを「ホロコースト」を考える特異な英語テキストとして位置づけることにある。Milgram博士が「第四の壁」を破る場面を取り上げ、その背後を非現実的に徘徊する巨像の表象を論じつつ、慣用句“elephant in the room”の含意を読み解きたい。

<Q&A 16:05-16:15>

16:20-17:20

Ryan Spring (Tohoku University)

Sachiko Nakamura (Tohoku University)

Workshop: How to Make Better Videos for Your Classes Part 2: Camera Proximity

Using video materials in language classes is an effective way for students to learn practical English. We can use movies, dramas, and YouTube videos, but we always need to consider limitations based on copyrights or other legal concerns. And also, it is sometimes difficult to find appropriate videos which include particular points we want to teach in class. Making our own videos can be the solution to those concerns, and many teachers have begun making original videos to contextualize words and phrases for their students. By doing so, we can prepare materials that are specifically tailored to the points our students need to learn. However, if videos are not made well enough, students will lose interest and might become bored with them. In this series, you can learn how to make quality videos using simple tools that most teachers have; a cell phone, a computer, and other simple items. In Part 2, we are going to teach you about camera distance. This will be an active workshop; you are going to shoot a video with your smartphone, learn some tips about camera distance, and re-shoot the same video using what you have learned.

17:20

閉会あいさつ

ATEM東日本支部 第2回東北特別研究会 研究発表募集

ATEM(映像メディア英語教育学会)東日本支部は、第2回特別東北研究会(9/23)を仙台協立第一ビル(宮城県仙台市)にて開催することになりました。つきましては、研究発表を募集いたしますので、ご案内申上げます。奮ってご応募ください。

日時:9月23日(土曜日)、13:00〜(予定)

会場:仙台協立第一ビル 4階(4E)map

発表募集締切:8月31日(木曜日)

研究発表募集要項:以下の必要事項を電子メール本文に記載し,東北大学 中村佐知子 sachiko.nakamura.b6 @ tohoku.ac.jpにお送りください。

  1. 発表題目(日本語発表の場合は日本語,英語発表の場合は英語で)
  2. 発表者全員の氏名
  3. 発表者全員の所属
  4. 連絡先(代表者のメールアドレス,緊急時連絡先電話番号(携帯電話番号等))
  5. 発表概要(400字以内、英語での発表は200 words 以内)

応募内容:研究会のテーマは特に固定していません。「映像メディア英語教育学会」という学会名が示す通り、各種映像/音声メディアと英語教育が関連していれば受け付けます。領域も授業実践、教材開発、英語教育論と幅広く捉えていただければと思います。ご不明な点などあればご相談ください。なお、発表時間は、発表(約)20分とし、その後の質疑応答・発表者交替時間を含め、(約)40分とします。

Announcement of Call for Presentations for the 2nd Special Tohoku Area Study Session of ATEM (The Association of Teaching English through Multimedia)

The East Japan branch of ATEM will be holding its second Tohoku area study session at Sendai Kyoritsu Daiichi Building in September, and we are now starting the call for presentations at this meeting. Please check the details below and apply, or just come to the session if interested.

Time and Date: September 23rd (Sunday), from 1:00 PM (not fixed)

Place: Sendai Kyoritsu Daiichi Building, 4th floor map

Deadline for applying for presentation: August 30th (Thursday)

Acceptable applications: This study session does not have a specifically set theme, so we will be accepting as many applications as we can regarding the use of multimedia and visual media (from videos to movies to music to digital media) and how it can be used in the EFL or foreign language classroom. The three general areas of presentation are: practical classroom application, materials development, and language teaching theory. If you have any questions, please ask through the e-mail provided below. Presentations should be about 20 minutes long, allowing for about 10 minutes for questions and answers and 10 for changing speakers.

To apply to speak at this meeting, please e-mail the following information to Sachiko Nakamura at: sachiko.nakamura.b6 {at mark} tohoku {dot} ac {dot} jp.

  1. Presentation title (in the language that you will be presenting in)
  2. Name(s) of all presenters
  3. The affiliation(s) of all presenters
  4. Contact information (preferred e-mail address and phone number in case of emergency)
  5. Abstract (400 characters or less if in Japanese, or about 200 words in English)

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