映画『ワンダー 君は太陽』(原題Wonder)に見ることばの力

渡邊 信(麗澤大学外国語学部)

英語学を専門としており、ことばについて考えるのが好きです。洋画や海外ドラマも子どものころからずっと好きでしたが、沈んだ時に励ましてくれることばや、困った時に導いてくれることばに、何度出会ったかわかりません。気に入ったセリフの意味を静かに考えていると時間を忘れてしまいます。

数年前、ゼミの学生が『ワンダー 君は太陽』(2017年、監督: スティーヴン・チョボスキー、原作: R・J・パラシオ)という作品を紹介してくれました。素敵なことばがたくさん使われている作品です。今回はこの作品から印象的な言葉をいくつか紹介させていただきます。*2025年5月時点ではNetflixで視聴できます。英語音声はありますが、残念ながらサブタイトルは日本語のみです。

簡単にストーリーを紹介します(詳細はこちら)。主人公のオギー(ジェイコブ・トレンブレイ)は10歳、ミドルスクールへの入学を控えています。顔に遺伝性の特徴があり、これまで何度も手術を受けてきました。家族は、母イザベル(ジュリア・ロバーツ)、父ネイト(オーウェン・ウィルソン)、姉ヴィア(イザベラ・ヴィドヴィッチ)そしてワンちゃんのデイジーです。ヴィアは入退院を繰り返す弟オギーの世話で忙しい両親に迷惑をかけないように生活している一方、内面では孤独を抱えています。母からホームスクーリングを受けてきたオギーが、「普通」の学校(いわゆるプレップスクール)に通うことになり、家族や友達、理解のある先生たちに支えられながら、いじめなど多くの困難を乗り越え成長していく1学年間が描かれています。

物語には、トゥシュマン校長(マンディ・パティンキン)、担任のブラウン先生(ダヴィード・ディグス)、オギーの友達のジャック(ノア・ジュープ)とサマー(ミリー・デイヴィス)、姉の親友ミランダ(ダニエル・ローズ・ラッセル)、そしていじめっ子のジュリアン(ブライス・ガイザー)や、同級生のシャーロット(エル・マッキノン)など、さまざまなキャラクターが登場します。それぞれの視点や役割が物語に深みを与えています。

印象的な言葉①: 正しいことより、親切を選べ

When given the choice between being right or being kind, choose kind.

(正しいことより、親切を選べ*)

*この訳文は原作小説の日本語訳(翻訳:中井はるの)からおかりしました。ほかのセリフの日本語訳はネットフリックスのサブタイトルを筆者が改変しました。

入学初日、生徒たちを教室に迎えるブラウン先生が板書した「9月の格言(September Precept)」です。ブラウン先生は毎月違う格言を子どもたちに考えさせます。そして、”Who do I aspire to be?”(人としてどうあるべきか?)と問い続けることの大切さを説きます。

ブラウン先生は子どもたちに「9月の格言を読みたい人?」と尋ねます。多くの子どもたちが元気よく“Me, me”と手を挙げますが、サマーだけは躊躇しています。気づいた先生は彼女に優しく語りかけ、格言を読むよう促します。サマーはゆっくりと読み始め、“… choose kind”と締めくくると、満足げににっこりと微笑みます。

勇気を持って誰かを正さなければならない場面ももちろんあると思います。差別的な発言やいじめ、ハラスメントなどに直面した時などです。でも、私自身を振り返ると、会議で自分の意見に固執してしまったことなどが思いだされます。個人的には、そうした過ちを反省し、将来の戒めとしてこのことばを心に留めておきたいと思います。

この「9月の格言」は、心理学者ウェイン・W・ダイアー博士 (Wayne Dyer)の言葉に由来するようです。完全に一致する表現は見つけられませんでしたが、ダイアー博士のホームページには「あなたを傷つけた人を許す」ためのステップの一つとして、“Be kind instead of right”(正しさより親切を選ぶ)の重要性が論じられています。

印象的な言葉②: 勇気について

Courage is what it takes to stand up and speak. Courage is also what it takes to sit down and listen.

(立ち上がって話すには勇気がいる。座って聞くにも勇気がいる)。

ホームルームの入り口に貼られたポスターに書かれている格言です。この言葉は、自分の意見を表明することの大切さだけでなく、他人の発言に注意深く耳を傾けることの重要性も伝えています。一般的には、ウィンストン・チャーチル元英国首相の言葉とされていますが、諸説あるようです。

私にはこの格言は、オギーの姉ヴィアを象徴しているようにも思えます。ヴィアは、弟オギーに両親の注意が集中していることを理解し、自分を抑えることで両親の負担にならないよう努力しています。その結果、知らず知らずのうちに自己主張を控えるようになりましたが、他人の話を注意深く聞くことに長けています。この格言は、ヴィアの内面の強さや、彼女が持つ「聞く勇気」を示す伏線とも読めるのではないでしょうか。

ヴィアの「聞き上手」は以下のジャステイン(演劇部での活動を通じて知り合ったヴィアのボーイフレンド)とのやりとりに明確に表れています:

Justine: Um, I can’t figure you out. Most theatre people won’t stop talking about themselves. But you don’t talk.

Via: I… I listen.

Justine: Me, too.

Via: I know.

Justine: Oh. So you do pay attention. Okay, that’s a start. Uh…I’m a good listener so tell me something. Who are you gonna audition for?

このシーンでは、Viaの控えめな性格と、他人の話をよく聞くという彼女の特性が際立っています。そして、その「聞く」姿勢こそが、彼女の内面的な強さや勇気を象徴しているように感じられます。この場面を通じて、他者を受け入れ、耳を傾けることが、いかに重要で尊いかが改めて伝わってきます。

印象的な言葉③:顔の特徴について

We all have marks on our face. This is the map that shows where we’ve been and it’s never, ever ugly.

母親イザベルが他人と違う顔の特徴に悩む息子オギーに語りかける場面です。人の顔の特徴はその人が歩んできた道程の証であり、決して醜いものではないと伝えます。映画全体のテーマである「外見の違いを受け入れ、内面に焦点を当てる」というメッセージを象徴するこの言葉は、オギーに安心感と自信を与えると同時に、作品を見る私たちにも外見にとらわれずおたがいの内面に目を向けることの大切さを訴えかけています。

印象的な言葉④:見方を変える

 Auggie can’t change how he looks. Maybe we should change how we see.

(オーギーは自分の見た目を変えることはできません。だから、私たちが見方を変えるべきなんです。)

この言葉は、トゥシュマン校長がオギーへのいじめ(ひどい似顔絵などの嫌がらせ)を続けたジュリアンとその両親に告げたものです。ジュリアン自身は反省の言葉を口にするのですが、母親は息子を理不尽に擁護し、結果としてジュリアンは転校することになってしまいます。

この後にジュリアンの登場シーンはありませんが、原作者R.J.パラシオは2022年に『ワンダー』の続編となる小説『ホワイトバード』を発表し、このいじめっ子ジュリアンを主要人物として描いています。2023年にはマーク・フォースター監督によって映画化もされています。この続編では、ジュリアンが祖母サラ・ブルームから第二次世界大戦中の体験を聞くことで、共感や優しさ、そして勇気について学ぶ姿が描かれます。ユダヤ人であるサラは、ナチス占領下のフランスで、家族や自分が迫害された経験を語ります。彼女の話では、命を懸けてサラをかくまい、助けた人々の勇気ある行動が強調されており、それはジュリアンに、優しさや人間性が持つ力強さを深く伝えるものとなっています。この物語は、ジュリアンが歴史の悲劇を理解するだけでなく、彼自身の価値観を揺さぶり、いじめや他者への態度について考え直すきっかけを与える重要な教訓となっていきます。

印象的な言葉⑤:行いが記念碑

MR. BROWNE: Your deeds are your monuments. Archaeologists found these words inscribed on the walls of an ancient Egyptian tomb. Can anybody tell me what they mean? Summer?

Summer: Oh, uh…I think it means that the things we do are the things that matter most.

ブラウン先生がYour deeds are your monuments(あなたの行いがあなたの記念碑です)という格言を紹介し、古代エジプトの墓に刻まれていたこの言葉の意味を子どもたちに問います。指名されたサマーは少し戸惑いながらも、「私たちの行いが最も大切だという意味だと思います」と答えます。このセリフは、人の価値は見た目や地位ではなく、日々の行動に表れるという映画のテーマをやさしく伝えていると思います。

印象的な言葉⑥: 本当の偉大さとは

The final award this morning is the Henry Ward Beecher medal to honor students who have been notable or exemplary. Usually, it’s a “good works,” a service award. But I came upon a passage that he wrote, which made me realize that good works come in many forms. “Greatness,” he wrote, “lies not in being strong, but in the right using of strength. He or she is the greatest whose strength carries up the most hearts by the attraction of his own.” Without further ado, this year, I am very proud to award the Henry Ward Beecher medal to the student whose quiet strength has carried up the most hearts. So, will August Pullman please come up here to receive this award?

長いですがトゥッシュマン校長の修了式でのスピーチです。クライマックスに向けて、オギーに栄えある「ヘンリー・ウォード・ビーチャー・メダル」が授与されます。校長はメダルの名称の由来となったビーチャー牧師の言葉を引用し、こう説明します。「偉大さとは、ただ強いことではなく、その強さを正しく使うことにあります。その人自身の魅力によって多くの心を引き上げることができる人こそが、真に偉大なのです。」「静かな強さ」で多くの人々の心を動かしたオギーの姿が、この言葉にぴったりと重なり、感動的な場面となっています。

印象的な言葉⑦: 人をいたわれ。みんな闘っている。

Be kind, for everyone is fighting a hard battle. And if you really wanna see what people are, all you have to do… is look.

人をいたわれ。みんな闘っている。相手を知りたかったら、やることは1つ。よく見ること。

作品を締めくくる、オギーの印象的なナレーションです。ブラウン先生が子どもたちに贈った最後の格言として紹介されており、すべての人がそれぞれの事情を抱えながら懸命に生きており、だからこそ、互いに思いやりを持って接することの大切さを説いています。

この格言に呼応する形で、本作にはオギーの視点だけでなく、姉ヴィア、ヴィアの親友

ミランダ、母親イザベル、そしてオギーの友達ジャックなど、さまざまな登場人物の視点から描かれた場面があります。彼ら一人ひとりが、それぞれの事情や葛藤を抱えながら生きており、その多様な視点を通じて、「親切さ」の本質が浮き彫りにされています。

なお、Be kind, for everyone (that you meet) is fighting a hard battleという言葉が誰のものかについては諸説があります。いずれにせよ、類似した表現が時代を超えて伝わり、多くの人の共感を呼んできたのでしょう。

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『ワンダー 君は太陽』のような魅力的な映画を授業に取り入れることで、英語学習の楽しさを広げる可能性が期待できると感じます。本作品に登場する印象深いセリフの数々は、学びにおいて特別な瞬間を生み出し、心に残る体験を提供することでしょう。このような映画を活用した英語教育は、学習者に多様な学びの機会を提供し、単なる言語習得を超えた豊かな経験をもたらす力を秘めていると思います。これからも皆さまとともにアイデアを共有しながら、映像を活用した英語教育の可能性をさらに探求していきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

【参照文献】

Palacio, R. (2013). Wonder. Corgi Childrens.

Palacio, R. (2015). 365 Days of Wonder Mr. Browne’s Precepts. New York: Alfred A. Knopf.

Palacio, R. (2023). White Bird: A Wonder Story. Penguin Books Ltd.

パラシオR.J. (2015). 『ワンダー』. (中井はるの, 訳) ほるぷ出版.

【映画】

Chobosky, S. (Director). (2017). Wonder [Motion Picture].

Forster, M. (Director). (2024). White Bird [Motion Picture].

【ウェッブサイト・ウエッブページ】

Dyer, W. W. (2025, 1 10). How To Forgive Someone Who Has Hurt You: In 15 Steps. (Hay House, Inc) Retrieved from DrWayneDyer.com: https://www.drwaynedyer.com/blog/how-to-forgive-someone-in-15-steps/

International Churchill Society. (2023, January 17). Quotes Falsely Attributed to Winston Churchill. Retrieved from Internal Churchill Society: https://winstonchurchill.org/resources/quotes/quotes-falsely-attributed/

Quote Investigator. (2010, June 29). Quote Origin: Be Kind; Everyone You Meet is Fighting a Hard Battle. Retrieved from Quote Investigator: https://quoteinvestigator.com/2010/06/29/be-kind/

キノフィルムズ. (2025年1月10日). 映画『ワンダー君は太陽』公式サイト. 参照先: http://wonder-movie.jp/

ATEM(映像メディア英語教育学会)東日本支部夏季例会プログラム(Zoom 中継含む)

ATEM Higashi Nihon Chapter Study Meeting(Zoom Hybrid)

◆日時:2025年5月25日(日)
Date: May 25(Sun.), 2025

◆場所:麗澤大学新宿キャンパス(新宿アイランドタワー 4F)
Place: Shinjuku Campus, Reitaku University(4F, Shinjuku I-Land Tower)

◆Zoom中継:Zoom中継をご覧になる方は、以下のGoogle Formsにて、5月20日(月)23:59までにご登録ください。後日ZoomのURLをお知らせします。
You are kindly asked to register through the following Google Forms by May 20 (Mon.) if you would like to join the meeting online (watching the presentations only). You will be informed of Zoom ID & Pass later.
https://forms.gle/u3aftdjNQJTvJpNb6

◆懇親会:支部例会の後には懇親会も開催します。親睦を深める意味でも、どうぞご参加ください
懇親会申し込みフォーム
https://docs.google.com/forms/d/1oGkBny_rg36SaHrLIbyZyY-7Z36xUHbeTG2OB0kxQIo/edit

<スケジュール Schedule>
ワークショップは60分、プレゼンテーションは30分(発表20分、QA10分)です。
Hands-on Workshop: 60 minutes, Presentation: 30minutes (20 minutes + 10 minutes Q&A)

10:30 – 10:50 ワークショップの準備(希望者)
Optional Preparation / Rehearsal for Workshop Presenters
10:50 – 11:00 開会挨拶 Opening Remarks
11:00 – 12:00 ワークショップ Hands-on Workshop
12:00 – 13:00 お昼休み Lunch
13:00 – 13:30 発表1 Presentation 1
13:30 – 13:35 休憩 Break
13:35 – 14:05 発表2 Presentation 2
14:05 – 14:10 休憩 Break
14:10 – 14:40 発表3 Presentation 3
14:40 – 14:50 閉会の挨拶 Closing Remarks
14:50 – 15:10 会場整理 Room Cleanup
15:10 – 16:00 例会後の役員ミーティング Post-Session Committee Meeting

16:30 – 18:30 懇親会

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<プログラム Program>
1.11:00 – 12:00 ワークショップ Hands-on Workshop
「韻を踏む歌とストーリー性のある歌で英語を楽しく学ぼう!」
関口美緒(名古屋大学・University of Maryland)

韻を踏む歌は記憶に残りやすく口ずさみやすい。また、発音やイントネーション・アクセントなど自然に身につく。発表者の経験から、教科書やドリルでは英語が身につかず、成績は底辺だった。しかし、英語の歌に出会ってから、英語の楽しさに触れた。とうとうアメリカのカレッジを飛び級で卒業し、カリフォルニアの大学で教鞭をとるまでになった。言葉とは楽しいものという概念から、みなさんで韻を踏む楽しさを知ってほしい。  ワークショップでは、皆さんの知っている歌やストーリー性のある歌を共有し、一緒に歌い、みなさんに韻を踏む歌詞(詩)を作ってもらい、グループまたは個人で発表してもらう。
Ⅰ. 曲の紹介 (10分)

  1. 韻を踏む歌
    ①The Beatles『Revolution』-tionの韻、②Earth Wind and Fire 『September』-berの韻
    2. ストーリー性のある歌
    ①Cinderella 『Somebody Save me』人生の没落
      https://aanii.net/somebody-save-me__trashed/
    ②Boston 『Rock and Roll Band』バンドのサクセスストーリー
    Ⅱ. どんな韻が踏めるのか (10分)
    皆さんの知っている曲・韻を踏むパターン、意見交換・発表(リスト化)
    Ⅲ. グループ活動: 1. 作業 (10分)、2. 発表 (10分)


―――
2.13:00 – 13:30 発表1(発表20分+質疑応答10分)
Presentation 1 (20 min. presentation + 10 min. Q&A)
「授業実践報告: 権威主義と教師像ー映画『いまを生きる』(Dead Poets Society, 1989)の場
合」
日影尚之(麗澤大学)

昨年度の3年次のゼミで映画『いまを生きる』(Dead Poets Society, 1989)を使った。伝統(権威)と自由(解放)の対立項について具体的場面に即して考察・指摘させる活動は一定程度できたと思う。権威の象徴=校長 Mr. Nolanの発言のしかたやその内容、生徒の一人 Neilの父親 Mr. Perryの息子に対する発言、場面の構図など様々な指摘もできるだろう。生徒たちは闇に紛れて洞穴で “Dead Poets Society” 「死せる詩人の会」を復活させる。Neilが『夏の夜の夢』のPuck を演じて間もなく亡くなるなど、独特の「暗さ」を感じさせるのは抑圧体制が続くからだが、Neilや彼の周辺の生徒もディスカッションの良い材料になる。教師像というテーマもトピックになり得るだろう。授業実践も踏まえて、この映画でどのような授業ができそうか、再考してみようと思う。

3.13:35 – 14:05 発表2(発表20分+質疑応答10分)
Presentation 2 (20 min. presentation + 10 min. Q&A)
Comparing the Effects of Serif and Sans Serif Fonts on Reading Accuracy and Speed in Print and
Digital Media on Japanese vs. Korean EFL Learners
Eric Shewack(Rikkyo University)

In consecutive studies by Shewack (2020, 2023), Japanese L1 EFL learners were presented with reading materials in both digital and print format to determine the influence of typeface (serif vs. sans Serif) on reading speed and accuracy. The results of Shewack (2023) suggest that the Japanese participants process text more efficiently when a serif font is used on print media and a sans serif font is used on digital media. These results align with many previous studies by typographers who suggest that the same fonts are also optimal for native English speakers. Recently, a third study was conducted to explore the implications of font selection and media further on L2 English readers, comparing the results of the Japanese students with their Korean counterparts while considering the influence of native orthography. The research, involving 39 university students from each country, compares the effects of serif and sans serif fonts in both print and digital formats. Results indicated that while Japanese students generally exhibited higher accuracy and faster reading times, both groups showed similar trends in font preferences on specific media. Specifically, reading speed was higher with serif fonts in print and sans serif fonts in digital formats. These findings suggest that font effectiveness in enhancing readability may be consistent across different L1 backgrounds, despite variations in orthographic familiarity. The study underscores the importance of font selection in educational materials for EFL learners, highlighting that appropriate font choices can positively influence reading efficiency regardless of the learner’s native language. The presentation aims to share these results to provide EFL educators insight into font selection when creating classroom materials.
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4.14:10 – 14:40 発表3(発表20分+質疑応答10分)
Presentation 3 (20 min. presentation + 10 min. Q&A)
「映画字幕翻訳を取り入れた特別授業の実践報告」
守田美子(大妻女子大学)

本発表はプロの映像翻訳者をゲスト講師として迎えて実施した集中授業の実践報告である。学生は、実際に映画やドラマの字幕翻訳や吹替翻訳を担当しているゲスト講師から、字幕翻訳の特性や映像翻訳者の仕事について話を聞いた後、グループに分かれ、映画の短い一場面に付ける日本語字幕を作成した。最後に課題シーンに各グループ作成の字幕を挿入した動画を全員で視聴し、ゲスト講師が講評と添削を行った。  字幕作成では指定文字数内に納めるために余分な情報削除や意訳を行うことがあるが、それには話の流れを理解し、文脈から示唆される会話の意味を正しく推測できることが必要になる。字幕作成は、通常授業での継続的な導入には課題があるが、アクティブ・ラーニングの教授法のひとつとして考えられることを示す。