「おしらせ」カテゴリーアーカイブ

YouTube番組を利用した語彙学習

中村佐知子(東北大学)

YouTubeを英語の授業で使用することは、今ではそれほど珍しくなくなりました。授業に少しアクセントを加えるために、YouTubeを使用するという先生方も多いのではないでしょうか。私自身、現在はカリキュラムの都合でYouTube番組を使用することはありませんが、以前は大学の授業で10分程度のYouTube動画を頻繁に使用していました。その際に気をつけていたのは、「できるだけ学生が興味を持てそうな動画を使用すること」と「動画視聴の時間を単なる息抜きにしないこと」です。動画選定については、事前に興味があるトピックをアンケートで調査するようにしていました。

授業でよく使用していたのは、『Paolo from TOKYO』の「Japan Day in the Life Series」です。

Paolo from TOKYO – Japan Day in the Life Series

就職を控えた大学生にとって、社会人の生活は非常に興味深いもののようでした。こうした動画を授業で使用することで、教材以外の英語に触れる機会を提供し、また、使用されている語彙やフレーズを紹介することで、少しでも英語学習に繋げることを意識していました。

学生から非常に好評だった動画の一例がこちらです。

【朝から晩まで完全密着】バンダイナムコスタジオ社員の1日https://youtu.be/e_TxH59MclA?si=Cx2dJmUWvts3Bhcv

TOCIC Service List 1.2(https://www.newgeneralservicelist.com/toeic-service-list)で調べると、この動画には、以下のようなTOEIC頻出単語が含まれることが分かります。

 TSL (TOEIC Service List) Rank
convenient54
coworker85
aisle138
overtime164
commute220
efficient366
refrigerator374
microwave995
unpaid 1092

これらの単語が動画内で使用される際に、一時停止して意味を確認したり、発音練習やディクテーションを行ったりするだけでも、学びの機会に繋がります。さらに、「授業の最後に単語を復習する」「その後の授業でも復習を繰り返す」など、継続的に取り組むことで、記憶の定着を意識した学習に繋げることもできるでしょう。

また、この動画には次のような文も使われています。

How long does it take for you to get ready for work?

How long did it take to develop this game?

これらの文は、ディクテーションや音読練習、さらには定型表現「How long does it take for you to do?」「How long did it take to do?」を使った文の作成練習にも応用できます。

さらに、この動画には、使用頻度が高いとは言えないものの、以下のような興味深い単語も含まれています。学生がこうした単語にも意識を向けることで、英語への興味が芽生えるかもしれません。

super packed「とても混んでいて」

burnables「燃えるゴミ」

non-burnables「燃えないゴミ」

honor system「自己申告システム」(オフィスの置き菓子の説明に使用されていました)

YouTube動画のauthenticな素材を楽しみながら、語彙やフレーズもしっかり学習する。「楽しい」と「英語力がつく」のどちらも諦めない授業づくりを、これからも心掛けていきたいです。

ATEM(映像メディア英語教育学会)2024年度第15回東日本支部大会・発表募集

例会日時:2024年12月22日(日)                        

会場:麗澤大学新宿キャンパス 新宿アイランドタワー4階4104号室

開催形態:対面開催(発表は会場で行います。オンライン発表はありません)

※遠隔参加する聴講者向けに、リアルタイム中継(配信)を行います。

対面開催で実施するため、発表者は会場にお越しください。聴講につきましては、会の盛況のためにもなるべく会場にお越しいただけましたら幸いです。

発表募集期間:2024年11月末日まで      

内容:例会テーマは特に固定はせず、各発表内容は発表者に一任いたします。「映像メディア英語教育学会」という学会名が示す通り、各種映像/音声メディアと英語教育が関連する内容を歓迎いたします。領域も授業実践、教材開発、英語教育論(異文化理解教育等を含む)と幅広く捉えていただければと思います。そうした分野やトピックに関するワークショップ(※)のご提案も含みます。ご不明な点などあればご相談ください。

発表時間:発表20分に加え質疑応答5-10分を予定しておりますが、発表数や企画の有無などにより多少調整する場合があります。なお、発表のお願い(採否)については、応募締め切りから1週間程度をもって通知いたします。

※ワークショップ:発表者がファシリテーターとなり、特定のトピックに関する解説、および聴衆も含めた活動の実施、とお考えください。これまでに実施された例として、映像使用に関する著作権についての理解を深める講義、英語学習アプリの使い方に関する講座、英語で映画を撮る授業の実践体験、映画撮影技術の講座および実践体験等があります。なお、アクティビティなどが含まれる可能性も鑑み、ワークショップの実施時間は20-40分の枠内でご計画ください。

応募方法:以下の必要事項を電子メール本文に掲載し、ATEM東日本支部宛(ej-seminar@atem.org)にお送りください。なお、送信後3日経っても返信がない場合は、再度ご連絡いただけますようお願いいたします。

1.メール表題に「ATEM東日本支部発表申し込み」と記載

2.発表タイトル

3.発表者の氏名(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの氏名)       

4.発表者の所属(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの所属)

5.連絡先(メールアドレス; 複数名で1つの発表の場合はその発表の代表者の連絡先)

6.   使用言語

7.発表概要(日本語の場合は400字程度、英語での発表は200-300 words)

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Call for Presentations at the ATEM Higashinihon Chapter Study Meeting on December 22 (Sun.), 2024

Dear ATEM Members:

ATEM Higashinihon Chapter will hold a Study Meeting at Reitaku University Shinjuku Satelite Campus (Shinjuku I-Land Tower 4F Room 4104, https://www.reitaku-u.ac.jp/about/access/) on December 22 (Sun.), 2024. We are planning on making the meeting Face-to-face (Presentations will be made at the venue, no online presentations). Also, real-time streaming is planned for remote participants, but this is subject to change depending on circumstances, so please check the website for details.

We are calling for presentations on English education (language education) that uses visual and/or audio multimedia including movies, TV dramas, Youtube, etc. Your presentation should focus on class activities, the development of language teaching materials, theoretical or empirical studies, or cross-cultural communication studies, etc. We also welcome proposals for workshops on those fields or topics.

Each presentation will be 20 minutes with 5-10 minutes of Q and A. (This may be adjusted depending on the number of presentations and the related projects. Please note that you will be notified of your presentation request (acceptance or rejection) approximately one week after the application deadline. 

We will contact you about the details later. 

Application Period: To November 30, 2024

Acceptance notice will be sent by email around a week after the application deadline. 

We would appreciate it if presenters could come to the venue as much as possible to avoid possible networking problems. If you wish to make an online presentation from outside the venue, please inform us at the time of application.

When submitting a proposal, please provide the following information by an attached Word file to the ATEM Higashinihon Chapter Office 

(ej-seminar@atem.org). 

1. Please title your email as “ATEM Higashinihon Presentation Proposal.” 

2. Presentation title 

3. Name 

4. Affiliation 

5. Email address

6. Language of presentation

7. Abstract (400 letters in Japanese or 200 to 300 words in English) 

人を慰めたいときのコミュニケーション

濱上桂菜(立命館大学)

親しい人が悩んで困っている時、何とか声をかけたいものですよね。

今回はそんな時に役に立ちそうな映画のシーンを二つご紹介します。

・映画「SING シング」

I know you’re sad right now and probably afraid to try again (…)

今は悲しくて頑張る気にもなれないと思うけど …(省略)

But you told me…”don’t let fear stop you from doing the thing you love.”

でもあなた言ってたでしょ 「恐怖に負けて夢を諦めるな」 と

大切な人が悩み苦しんでいる時には、相手が独りぼっちではないことを伝えたいですよね。そんな時には、まず相手の気持ちに共感するのが大事と言われています。上のセリフでも、まず、I know you’re …の部分で相手の感情に共感しています。そして、その後にBut を使って慰めの言葉をかけるのです。

このセリフの間に目線をどこに向けているかにも注目してみましょう。I know you’re …の部分では目線を相手からそらしていますが、but 以下のところでは相手の方をしっかりと見ています。つまり、本当に伝えたい内容は but 以下の内容と言えるでしょう。この目線の使い方も、人を元気づけたいときの大切なポイントなのではないでしょうか。

・映画「インサイド・ヘッド」

次のシーンは Sadness が Bing Bong を慰める印象的なシーンです。

(この映画は、とある女の子ライリーの頭の中で展開する、キャラクター化した感情たちや空想人物の冒険物語です。)

(Bing Bongは、大事にしていたカートのおもちゃを失ってしまい、悲しみに暮れています。)

Bing Bong: It’s all I had left of Riley.

「ライリーとの唯一の思い出の品なのに」

Sadness: I bet you and Riley had great adventures.

 (カートを使って)「あなたとライリーは大冒険したのよね」

Bing Bong: They were wonderful. Once we flew back in time. We had breakfast twice that day.

「素晴らしかったよ。時間を遡ったこともある。その日は朝食を2回食べたんだ」

Sadness: That’s sounds amazing. I bet Riley liked it.

「すごい。ライリーもそれは喜んだでしょう」

Bing Bong: Oh, she did. We were best friends.

「そうとも。僕たちは親友だった。」(涙を流す)

Sadness: Yeah. It’s sad.

「そうね。悲しいね。」

Sadness は、辛く思っている相手に共感しています。I bet … (きっと…だ)や、 It’s sad. (悲しいね) という表現を使って共感していますね。しかし、驚くべきことに、ここでは一つも具体的な慰めの言葉をかけていません。 But を使って、「だけど、楽しい思い出は心に残ってるでしょ」などの慰めの言葉をかけていないのです。

立ち位置やジェスチャーも印象的です。Sadness は、悲しむ相手と向かい合うわけではありません。相手の横に並んで座り、優しく相手の手に触れています。つまり、相手と同じ方向を向いて、近くにいることをそっと伝えているだけです。

大切な相手をなぐさめる方法は、もちろん状況、人間関係、文化などによっても変わってくると思います。しかし、相手が本当に辛く思っていて、どんな声掛けをしたらいいのかわからない時には、もしかしたら Sadness がしたように共感して寄り添うのが唯一できることなのかもしれません。

ATEM東日本支部 第3回東北特別研究会のお知らせ

新しい参加者がお二人加わり、無事に終了しました。

日時:2024年9月7日(土曜日)、13:00 – 17:00

会場:仙台協立第一ビル 5階(5F)map

宮城県仙台市青葉区国分町1丁目 8-13

Date: Saturday, September 7th, 2024, 1:00 PM – 5:00 PM

Place: Sendai Kyoritsu Daiichi Building 5th floor (5F) map

研究会の後に懇親会を予定しております。(事前予約制)

参加ご希望の方は、こちらの懇親会参加フォーム(Google Form)にて申し込みください。[締切 9月3日(火)23:59]

https://forms.gle/uY6esVGCQpG34ysh9

We are planning a social gathering following the study session on the day of the event (reservation required). If you wish to participate, please register in advance using the following participation form.[Deadline: Tuesday, September 3rd, 23:59].

https://forms.gle/uY6esVGCQpG34ysh9

13:00

開会あいさつ

13:10-13:30

“AI Tools in an EGAP Course: The Write Stuff or Cautious Optimism?”

Barry Kavanagh (Tohoku University)

Abstract: This study investigates the potential of AI-based paraphrasing tools in enhancing first-year students’ EGAP (English for General Academic Purposes) skills at a national university in Japan. Seventy students participated in class units focused on paraphrasing and summarizing techniques. Initially, they were tasked with summarizing and paraphrasing two reading passages and completing a survey regarding the perceived difficulty of the activity. The following week, the students repeated the same summarizing and paraphrasing tasks, this time with the assistance of an AI-based paraphrasing tool, followed by a similar survey that included additional questions about their perceptions of the AI tool. The students’ writing, with and without AI tool support, was evaluated for grammar accuracy, clarity, and readability, using Flesch reading-ease scores assessed by an AI writing assistant. Surveys revealed that students found it challenging to change the word order or structure of the original text when paraphrasing on their own, but this largely disappeared when AI paraphrasing technology was used. The primary difficulty encountered with the AI tool was editing the paraphrased output provided by the software. Although the AI tool improved the grammatical accuracy of the student’s writing, it did not enhance readability; readability scores declined as assessed by the AI writing assistant.

<Q&A 13:30-13:40>

13:45-14:05

「英会話学習に、学習効果の高い学習者と指導者との双方向性(Interaction)を実現するために」

大月敦子(専修大学) 

概要:国際化の流れと共に実用英語の必要性がこれまで以上に求められている今日、人々の間では特に英会話力を身につけたいという想いが高まっている。自動翻訳機やAIが普及する一方で、人と人との交流も必要だと考えているからだろう。それを物語るように、ネット上には様々な英会話練習ツールが溢れている。そこで本発表では、ネット上での英会話練習法の現況について触れながら、第二言語習得の立場から”インタラクション仮説(Interaction Hypothesis)” Michael. H. Long(1981・1996)の双方向性の英会話授業実践への適用可能性について論じる。次に、英会話授業における学習者と指導者との双方向性のある授業のありかたと学習効果について、フロアーの方々と発表者と一緒に双方向的に議論を進めたい。

<Q&A 14:05-14:15>

14:20-15:00

「定型表現学習のためのYouTube教材作成ワークショップ」

中村佐知子(東北大学)

概要:英語教育における定型表現学習の意義については、長年にわたり十分論じられてこなかったが、近年、その重要性が指摘されている(金澤, 2020; 中田, 2022)。これに伴い、定型表現学習のための教材の研究開発も必要である。当ワークショップでは、定型表現学習のためのYouTube教材の作成方法を実演解説する。動画教材を使用することで、テキストと音声をひとつのインターフェイスで学習することができる。また、「テキストを読む」「音声を聞く」ためだけの教材ではなく、英文を記憶しリピート練習することで、定型表現を受動語彙としてのみではなく能動語彙として使用できることも目指す教材とした。使用するツールは以下のとおりである。基本的にすべて無料で利用できる。

ChatGPT https://openai.com/chatgpt/

Ryan Spring’s Website https://sites.google.com/view/ryanspring/home

音読さん https://ondoku3.com/en/

Audacity https://www.audacityteam.org/

DaVinci Resolve https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve

YouTube https://www.youtube.com/

<Q&A 15:00-15:10>

〈15:10-15:30  Coffee Break〉

15:30-15:50

”Building Future-Ready Skills through Video-Based Learning”

Manami Sato (Kyoto University of Advanced Science)

Abstract: In today’s rapidly changing world, it is crucial for college students to develop flexible thinking and perspectives. The OECD Education 2030 framework highlights three transformative competencies: creating new value, reconciling tensions and dilemmas, and taking responsibility. These principles, influenced by the OECD Tohoku School Project (2012 – 2014), have also shaped the national curriculum for OECD countries. This presentation explores the integration of 21st -century skills through the use of video materials, focusing on critical thinking, problem-solving, and decision-making, into language education. Using Pearson’s Contemporary Topics 1, whose materials feature lecture videos, as the main textbook, the author demonstrates how these competencies can be effectively taught in English classrooms. The presentation will showcase specific classroom activities, including: 1) a gratitude visit (Seligman et al., 2005); 2) win-win negotiations (Covey, 1988); 3) design thinking (Rowe, 1987); and 4) utilitarianism (Mill, 1861). These activities aim to foster a sense of ownership and a sense of responsibility among students and encourage them to take concrete actions as engaged citizens. By incorporating these themes into English education, students not only enhance their language skills, but also develop as proactive members of society, ready to face the challenge of the 21st century.

<Q&A 15:50-16:00>

16:05-16:25

”What should I research? New and hot topics in teaching English through Multimedia”

Ryan Spring (Tohoku University)

Abstract: Many young researchers and new teachers have difficulty finding areas to research or finding new topics to expand into. As technology progresses and using multimedia in TESOL teaching has become increasingly commonplace, some may wonder what sorts of topics there are left to research. However, in looking at the Association of Teaching English through Multimedia (ATEM) and the changes it has undergone many changes in the past decade, including changing the name from “through Movies” to “through Multimedia,” I feel there several new and exciting possibilities in this field that are currently understudied or not examined in enough detail. Drawing on the rich history of ATEM, which conducts research from cultural, linguistic, and educational perspectives, I outline some of the potential research areas that I see as being increasingly important in the future. I also provide some suggestions on new methods to research the topics and potential pitfalls. Specifically, I suggest that in the area of culture, research could be conducted into the differences in originals and remakes and how the global market has influenced Hollywood, in the area of linguistics, research could examine linguistic change via multimedia and be linked more specifically to SLA, and in the area of education, more work could be done on innovative uses of multimedia and the amount of impact it has on learning outcomes and the use of video materials in testing.

<Q&A 16:25-16:35>

16:40

閉会あいさつ

A call to research hot new topics within ATEM’s scope

The Association of Teaching English through Multimedia (ATEM) has undergone many changes in the past decade, including changing the name from “through Movies” to “through Multimedia.” These changes are indicative of the changing times and evolving teaching landscape. With this, I have noticed several emerging research topics that I think our members can, and should, look into, but that not many of us seem to be picking up. In this post, I would like to encourage some members to go after some of these new and exciting areas, explaining what they are and why I feel they are important. In no particular order:

<Culture / Literature Related>

1. Comparative culture studies between originals and remakes

While I have seen ATEM members teach about culture through films and other sorts of media, I still see many papers that use a rather old lens to look at more modern cinema. Recently, Hollywood has been producing ever more remakes of and sequels to earlier films (e.g., Disney keeps making real-life remakes of their animated classics, and it seems that every movie popular in the 80s and 90s is getting a sequel or remake that no one asked for). Though the motivation for this is likely profit driven, at least in part, remakes and sequels offer a chance to compare the atmosphere and culture in the country from the original to the remake. While I have seen some of our members notice this, they often stop short at looking at the similarities rather than pointing out the glaring differences and what those implicate about the change in society.

2. Observing the cultural influence of the global market on Hollywood and digital media

Since Hollywood movies gain so much attention, it is not surprising that they are analyzed and used in English teaching as much as they are. One lens from which movies have often been analyzed is as good glimpse into public thought or general ideas of the time of the culture which produced the film. For example, when a county experiences periods of financial or social unease, horror or monster films often become popular (e.g., the German monster films of the 1920s, the Japanese kaiju films of the 1950s and 60s, etc.; Reimer & Reimer, 1992). However, in more recent times, Hollywood films are often changed drastically in order to appeal to a global audience, as opposed to an American one. With this in mind, do Hollywood movies really reflect American ideas and public thought anymore? Furthermore, as the country becomes increasingly divided since the early 2010s, do any films truly represent general though in America anymore?

<Education Related>

3. Innovative uses of multimedia in the English classroom

While ATEM originally focused on just the use of movies in the classroom, there are increasing chances for students to engage with a range of multimedia, and I would encourage more studies on this. Specifically, there is still much room to focus on student-created multimedia as a means of learning (e.g., Spring, 2020a), uses of short video clips presented through streaming platforms (e.g., Ramsden, 2020), and manipulations of text, videos, images, and music to create more interactive experiences (e.g. Nakamura et al., 2024). Now that ATEM focuses on a range of multimedia and it is becoming ever-easier to implement media usage both in the classroom and at home as part of extra studying or flipped-learning, more study will be needed in these areas as well. For example, some burning questions that do not have definitive answers include: Should subtitles be used or not? Does it depend on the level? Should students slow down videos if they find them too fast, or re-watch? Are listening activities better as videos? If so, does it matter what is shown in the video? For example, if students are listening to a lecture about turtles, is it better to have no video, video of a lecturer, video of turtles, or images and text? Do certain patterns promote learning or become a crutch? If we use videos outside of the classroom as part of flipped-learning, how do we ensure that students watch them? How do we turn video watching into a more interactive activity? All of these areas need ever more exploring and the results should eventually be amalgamated via meta-analyses and scoping reviews.

4. Focusing on differences in improvement when teaching English through multimedia

As teachers, our own students often become our participants, making our research quasi-experimental. One common way to test if a method is working is to use pre-/post-testing with a control and experimental group. However, if a teacher truly believes one method to be inferior, is it ethical to give one group of students a worse class to see if it is truly worse? Furthermore, how do we keep research bias out of the results in this case? More importantly, whether or not scores increase on average, there is always variance in how much students improve. I believe a more important question to try to answer when conducting educational studies is why some students improve more than others. By investigating this question instead, we can also see how valid our teaching methods are and what areas we need to improve. This sort of study can be conducted with pre- and post-tests and either regression analyses (e.g., Spring & Takeda, 2024) or repeated ANOVA with covariates (e.g., Spring, 2020b), or even by looking for common themes between our top and bottom improvers (e.g., Spring et al., 2019). If conducting regression analyses, it is a good idea to use the delta scores (post-test minus pre-test) as the dependent variable and include pre-test scores as a means of counteracting the effect of previous knowledge. Furthermore, when conducting these analyses, consider using dominance analysis for best results (Mizumoto, 2023). You can find free tools for doing this here or here: <Mizumoto Tool>, <Spring Tool>

5. The use of video materials as part of testing

Recently, some studies have suggested that using videos to test listening comprehension may be superior to using audio files alone (e.g., Kim, 2023; Suvarov, 2015). Part of the rationale is that video tests are more authentic (when do we close our eyes when talking to others?), and part of the rationale is that the videos provide more context via their visual cues, which ensures that we are testing listening ability and not the ability to conjecture what situation two speakers are in from audio clues alone. This areas is both extremely understudied, but also well within the scope of ATEM.

<Linguistics Related>

6. Checking for linguistic change in spoken English

Thanks to the movie corpus (Davies, 2019), it is easier than ever to conduct corpus studies on linguistic elements and match these to dates when they emerge and how frequent they are in particular decades. As should be apparent to any linguist, language is always changing and evolving. As movies tend to be a good gauge for commonly known and understood spoken registers, they can also be used to track changes in the English language. Not only is this good for finding out the latest trends in slang and new expressions, but it can also help us to know when certain expressions and turns of phrase have begun to fade away. A good example is of the past tense of the verb “dream” in American English. While both “dreamt” and “dreamed” were both quite common up until the 1950s, the former began to fall out of usage, and is rarely used in recent times. However, I’m sure this is not the only change, as I often notice differences in my own vernacular and that of my parents and older generations.

7. Linking linguistic examples to SLA

Many linguistics papers have been published in the ATEM journal that apply theory to actual examples found in visual media, such as movies. However, more work is still required to point out the benefits of teaching these discoveries from a second language acquisition (SLA). For example, it could prove beneficial to find examples of theoretically difficult to parse syntactic or semantic structures from film and visual media and then test how well students are able to understand these expressions when presented with them. While we often assume that students have some syntactic or semantic knowledge, SLA studies that test students’ ability to parse or understand such structures do not always produce results congruent with our assumptions. This is especially true in the context of visual media, as the various context clues from the visual media may actually provide students with the extra information required for them to understand the supposedly difficult structures. Therefore, I believe work is warranted as to which are difficult to understand both with and without visual media, what the differences in these types are. This may help further our understanding of the types of visual media that we need to use to help students understand linguistically difficult structures more easily. This potentially overlaps with suggestion (5).

It is my hope that by suggesting some of these potential topics and tools, ATEM members can potentially branch out into new topics or use their pre-existing knowledge to help solve some of these mysteries. I also encourage new, young researchers to pick up some of these topics and areas, and potentially reach out to me or other, more senior ATEM members for help. There are a lot of possibilities and potential in our field, and yet, much of it remains unexplored. I implore the next generation or researchers and educators to begin looking into these topics, and the current and older generations of researchers and educators to help the next generations to develop the skills to research these topics in depth and present their results so that we may all benefit from their findings.

References and Suggested Readings

Davies, M. (2019) The Movie Corpus. Available online at https://www.english-corpora.org/movies/.

Kim, J. (2023, September 15). Test takers’ interaction with context videos in a video-based listening test: A conceptual replication and extension of Suvorov (2015). https://doi.org/10.31219/osf.io/r83by

Nakamura, S., Spring, R, & Sakurai, S. (2024) The impact of ASR-based interactive video activities on speaking skills: Japanese EFL learners’ perceptions. TESL-EJ, 27(4). https://doi.org/10.55593/ej.27108a5

Ramsden, T. (2020). Jiritsuteki gakushu o unagasu jugyogai gakushu no kokoromi: YouTube bideo report [An attempt at encouraging autonomous study outside of the classroom: YouTube video reports]. ATEM Journal, 25, 17–30. https://doi.org/10.24499/atemnew.25.0_17

Reimer, R., & Reimer, C. (1992) Nazi-retro film: How German narrative cinema remembers the past. Twayne.

Mizumoto, A. (2023). Calculating the relative importance of multiple regression predictor variables using dominance analysis and random forests. Language Learning, 73(1), 161–196. https://doi.org/10.1111/lang.12518

Spring, R. (2020a). Can Video-creation Project Work Affect Students’ Oral Proficiency? An Analysis of Fluency, Complexity and Accuracy. TESL-EJ, 24(2). http://www.tesl-ej.org/wordpress/issues/volume24/ej94/ej94a1/

Spring, R. (2020b). Maximizing the benefits of video-creation PBLL in the EFL classroom: A preliminary analysis of factors associated with improvement in oral proficiency. STEM Journal, 21(4), 107–126. https://doi.org/10.16875/stem.2020.21.4.107

Spring, R., & Takeda, J. (2024). Teaching phrasal verbs and idiomatic expressions through multimodal flashcards. STEM Journal, 25(2), 40–53. https://doi.org/10.16875/stem.2024.25.2.40

Spring, R., Kato, F., & Mori, C. (2019). Factors associated with improvement in oral fluency when using Video-Synchronous Mediated Communication with native speakers: An analysis of 3 years of data from a Skype partner program. Foreign Language Annals, 52(1), 87–100. https://doi.org/10.1111/flan.12381

Suvorov, R. (2015). The use of eye tracking in research on video-based second language (L2) listening assessment: A comparison of context videos and content videos. Language Testing, 32(4), 463–483. https://doi.org/10.1177/0265532214562099

第3回東北特別研究会2024(ATEM東日本支部)    研究発表募集

ATEM東日本支部は、第3回東北特別研究会(9/7)を仙台協立第一ビル(宮城県仙台市)にて開催することになりました。つきましては、研究発表(授業実践報告も含む)を募集いたしますので、ご案内申し上げます。奮ってご応募ください。

日時:2024年9月7日(土曜日)、13:00〜(予定)
会場:仙台協立第一ビル 5階(5-F)
map https://maps.app.goo.gl/nX1H1GTNpxgSLMT56
発表募集締切:2024年8月10日(土曜日)
研究発表募集要項:以下の必要事項を電子メール本文に記載し、 中村(sachiko.nakamura.b6@tohoku. ac.jp) までお送りください。

*発表題目(日本語発表は日本語、英語発表は英語)
*発表者全員の氏名
*発表者全員の所属
*連絡先(代表者のメールアドレス,緊急時の連絡先電話番号)
*発表概要(400字以内、英語での発表は200 words 以内)
*応募内容:研究会のテーマは特に固定していません。「映像メディア英語教育学会」という学会名が示す通り、各種映像/音声メディアと英語教育が関連していれば受け付けます。領域も授業実践、教材開発、英語教育論と幅広く捉えていただければと思います。

ご不明な点などあればご相談ください。なお、発表時間は、発表(約)20分とし、その後の質疑応答・発表者交替時間を含め、(約)40分の予定です。

当日は研究会の後に懇親会を予定しております(事前予約制)。
参加ご希望の方は、こちらの懇親会参加フォーム(Google Form)にて申し込みください[締切 9月1日(日)23:59]。
https://forms.gle/uY6esVGCQpG34ysh9

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Announcement of Call for Presentations for the 3rd Tohoku Area Special Study Session of ATEM (The Association of Teaching English through Multimedia)


The East Japan branch of ATEM will be holding its 3rd Tohoku area special study session at Sendai Kyoritsu Daiichi Building in September, and we are now starting the call for presentations at this meeting. Please check the details below and apply, or just come to the session if interested.

*Time and Date: Saturday, September 7th, 2024, starting at 1:00 PM (time subject to change)
*Place: Sendai Kyoritsu Dai-ichi Building, 5th Floor (5-F)
map https://maps.app.goo.gl/nX1H1GTNpxgSLMT56
*Deadline for applying: Saturday, August 10th, 2024

This study session does not have a specifically set theme, so we will be accepting as many applications as we can regarding the use of multimedia and visual media (from videos to movies to music to digital media) and how it can be used in the EFL or foreign language classroom. The three general areas of presentation are: practical classroom application, materials development, and language teaching theory. If you have any questions, please ask through the e-mail provided below.

Presentations should be about 20 minutes long, allowing for about 10 minutes for questions and answers and 10 for changing speakers. To apply to speak at this meeting, please e-mail the following information to Sachiko Nakamura (sachiko.nakamura.b6@tohoku.ac.jp).

*Presentation title (in the language that you will be presenting) *Name(s) of all presenters
*The affiliation(s) of all presenters
*Contact information (preferred e-mail address and phone number in case of emergency)
*Abstract (400 characters or less if in Japanese, or about 200 words in English)

We are planning a social gathering following the study session on the day of the event (reservation required). If you wish to participate, please register in advance using this participation form
(Google Form) [Deadline: Sunday, September 1st, 23:59].
https://forms.gle/uY6esVGCQpG34ysh9

『歩道の三人女』(Three on a Match, 1932)におけるマッチにまつわる迷信

飯島さや(武蔵野音楽大学 非常勤講師)

 フィルム・ノワール、『スカーレット・ストリート』(Scarlet Street, 1945)の冒頭のシーンで、男性主人公は上司から勧められて葉巻を吸う。ここで取り上げられているのは、マッチにまつわる迷信である。このシーンから示唆を得て、『歩道の三人女』の考察に至った。本作の原題であるThree on a Matchは、アメリカにおける当時の迷信を踏まえている。この迷信によれば、1本のマッチで3人のたばこに火をつけると、最後の1人が命を落とすことになる。その由来は以下の通りである。映画内で提示される記事“Take Our Word for It”では、マッチ王といわれた実業家、イーヴァル・クルーガーの策略によるものだと明言されているが、実際には諸説あるといわれている。 

  The Saying- “Three on a Match Means One Will Die Soon” did
not originate in the war, where it was said that to hold a match
burning long enough for three lights would attract enemy gun
fire. It did originate with Ivar Kreuger the Swedish Match King,
who wanted the world to use more matches. It is reported that
the saying brings his companies $ 5,000,000 more revenues
annually. (Three on a Match)

 つまり、戦場での必要性からではなくクルーガーによる商業戦略の一環として、より多くのマッチを使用するよう奨励された事情があるようだ。

 さて、映画のシーンを分析していこう。幼なじみの3人の女性たちは、10年ぶりに偶然再会し、ランチをしながらタバコを吸っている。マッチに火をつけるのは、テーブルの中央に座るメアリーである。初めにルース、次にメアリー自身、最後にヴィヴィアンのたばこに火をつける。カメラは左から右に動き、たばこを吸い始める彼女たちを途切れなく捉える。とりわけ、ヴィヴィアンのたばこに火をつけるメアリーの右手は、若干クロースアップされているように見える。ヴィヴィアンが3人目、つまり彼女が犠牲になることがほのめかされていると考えられる。そして、メアリーは「マッチの呪い(Weird on a match)」と言い、ヴィヴィアンは”What’s the difference?” と答える。Collins Online Dictionary​によると、”What does it matter?” と同義表現であることから(https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/whats-the-difference​)、「そんな迷信なんかどうだっていいわ」と訳すのが妥当だろう。ヴィヴィアンに限らず、もう大人になったのだから私たちは迷信なんか信じない、という3人の女性たちの心境がヴィヴィアンの台詞に集約されているといえる。

 ヴィヴィアンの悲劇的な末路について、ここで敢えて言及しないが、エンディングの描写について少し触れておきたい。暖炉の前にあるソファーにメアリーとルースが座っている。そして、メアリーはルースと自らのたばこに火をつけ、暖炉にマッチを投げ捨てる。このマッチの描写が印象的であり、2つの解釈が考えられるだろう。マッチはヴィヴィアンを思い出すものとして取り入れられ、彼女に対する追悼の意を表しているという説。それとは裏腹に、マッチのように燃え尽きた彼女の運命に対する皮肉がほのめかされているという説が挙げられる。私は後者であると思うが、このエンディングについては更なる考察が必要であるだろう。

 今まで述べてきたように、『歩道の三人女』において、迷信では不吉とみなされている行為と、女性たちの人生が重ね合わされ、数奇な運命をたどる1人の女性像が強調されている。登場人物像をより深く理解するためには、映画公開当時における文化的、歴史的背景を吟味することが求められているのである。

ATEM(映像メディア英語教育学会)東日本支部夏季例会プログラム(Zoom 中継含む)    ATEM Higashi Nihon Chapter Study Meeting(Zoom Hybrid)

日時:2024年5月26日(日)                                                                                           

Date: May 26(Sun.), 2024

場所:麗澤大学新宿キャンパス(新宿アイランドタワー 4F)

Place: Shinjuku Campus, Reitaku University(4F, Shinjuku I-Land Tower)

Zoom中継をご覧になる方は、以下のGoogle Formsにて、5月20日(月)23:59までにご登録ください。後日ZoomのURLをお知らせします。

You are kindly asked to register through the following Google Forms by May 20 (Mon.) if you would like to join the meeting online (watching the presentations only). You will be informed of Zoom ID & Pass later.

https://forms.gle/7GrBj8st1E8w4feC9

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13:00 – 13:15 発表者リハーサル(希望者のみ) Rehearsal for presenters (optional)

13:15  開会挨拶 (Opening)

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1.13:20 – 13:40

“Interactive Video-speaking Tests: Possibilities and Challenges”

Ryan SPRING(Tohoku University)

Abstract: Video-based listening tests have recently garnered attention as being potentially better than audio-based listening tests due to the fact that the videos provide better context and result in improved learner engagement and focus (e.g., Wagner, 2010; Zhi, 2013). However, fewer studies have looked at the use of video-based tests that prompt speaking responses. As of 2020, Tohoku University adopted a new, four-skills based EGAP (English for General Academic Purposes) curriculum that requires students to learn a number of speaking skills including discussion participation. However, evaluating discussion can be challenging as the same scenario should be presented to students and the objectivity of grading must be ensured. Furthermore, conducting speaking tests can be very time consuming for teachers. Therefore, Tohoku University has adopted an approach of providing video-prompted speaking questions to ensure that all students receive the same stimulus and will provide similar kinds of responses that can allow more uniform grading. The system also allows the use of Automatic Speech Recognition (ASR) which can be used to provide teachers with transcripts of student responses that can also be used to check for specific keywords, potentially decreasing teachers’ scoring burden. In this presentation, examples and preliminary results are provided with an aim to further refine the systems.

≪Q&A: 13:40 – 13:45≫

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2.13:50 – 14:10

「映画『コールドマウンテン』と原作小説の相乗効果による英語力の向上」

塚田三千代(翻訳・映画分析アナリスト)

概要:映画は小説が言葉で描写する情景をイメージ化した映像である。登場人物たちの心底の恐怖や不安を伝える表現を、映画『コールドマウンテン』とその原作小説(Cold Mountain, 2003. By Charles Frazier)を比較して考察した。彼らの心底を表現するために、「if語句」や「if節~」の仮定法で語るセリフ・言葉が、映画では35回、原作小説は165回出現する。

 物語は1861年4月に勃発したアメリカ合衆国南北戦争の4年間を背景にしている。フレデリックスバーグ激戦後のピーターズバーグ特攻隊に、召喚されたインマンが首に重傷を負ってチャールストンの病院に入院する。そこから逃亡し、携帯していたバートラム著『旅行記』を頼りに、故郷コールドマウンテンのBlack Coveへ向かう彼自身の闘う旅が始まる。旅の途上に厳しい自警団(Guard Home)の監視を逃れ、「フィルド音楽」や多彩な異文化を持つ人々と出合い精神の高揚へと向かう。

 この映画と原作小説は英語力向上に適正な素材があるので、その相乗効果は多大である。

≪Q&A: 14:10 – 14:15≫

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3.14:20 – 14:40

「英語字幕コーパスを用いた口語表現ain’tの記述的分析」

三村仁彦 (帝塚山大学)

概要:本発表では,英語字幕コーパス『KUFS映画・ドラマデータベース』(一般非公開)を用いて口語表現ain’tの記述的分析をおこない,その結果を基に次の二点を主張する:

(1)  生起頻度とパターンの豊富さから,当該表現が話し言葉における慣用表現として十分に確立された地位を有していること。

(2)  各種英和辞典における当該表現の記述(特に例文の選定)に関して,再検討の必要性があること。

am [are, is] notの短縮形,あるいはhave [has] notの短縮形であるain’tは,一般的には非標準的な表現として認識され,学習用英和辞典におけるその記述は簡潔なものにとどめられているのがふつうであり,総合英語教材にいたっては,そもそも触れられていない場合も多い。その一方で,同表現は映画のセリフはもちろん,洋楽の歌詞の中にも頻繁に見られ,学習者が接する機会が決して少なくない。本発表は,この矛盾を解消する一助となることを目指すものである。

≪Q&A: 14:40 – 14:45≫

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4.14:50 – 15:10

「『聖なる鹿殺し』~サイコ・ホラーに描かれる普遍的な問題~」

藤田久美子(進学塾TOMAS講師、元白梅学園大学講師)

概要:ギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督による2017年度公開の映画「聖なる鹿殺し」は、ギリシャ悲劇「アウリスのイピゲネイア」からヒントを得たと言われている個性的なサイコ・ホラーだが、その独特なミステリーの雰囲気を作り出す幾つかの要素と共に、「罪と罰」、「家族の関係」、「職業意識」、「経済的格差」等の普遍的な問題を提起するものでもある。

 この映画は、ある医者とその家族が、一人の、不思議な力を持った少年の存在によって翻弄されていく様子を描くが、それは、医者が少年の父にしたことが原因だということが分かってくる。その間に、じわりじわりと、少年が医者とその家族を追い詰める恐怖が巧に描かれるが、そのサスペンスを描きながらも、上記の普遍的な問題が確かに提示される。

 本発表では、サイコ・ホラーの要素と共に、その普遍的な問題が、どのように提示されるのかを見てみたいと思う。

≪Q&A: 15:10 – 15:15≫

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5.15:20 – 15:40

“Exploring Optimal Design Strategies for English Audio Materials”

Sachiko NAKAMURATohoku University

Abstract: Recently, many English learning books have been coming with audio resources. However, there are still not many that pay adequate attention to the design of the audio materials, including the duration of pauses. By incorporating appropriate pause lengths, these audio materials can become more than just tools for checking segmental features (e.g., pronunciation of each word) and suprasegmental features (e.g., intonation and rhythm); they can become more usable for repetition or retention training, wherein learners listen to audio without a script and repeat what they hear during the pauses (Nakata, 2023). English audio materials can be consciously designed to be used more actively, enabling learners to not only acquire declarative knowledge, i.e., knowing about something (DeKeyser, 2020), but to also promote the development of procedural knowledge, which is essential for communicative competence  (e.g., DeKeyser, 2020; Nakata, 2023; Suzuki et al., 2023). Moreover, by using “not lengthy” pauses, the audio materials can do more to improve learners’ fluency, as learners need to repeat the audio within a limited time. This presentation explores: 1) common design practices for English audio materials, 2) optimal design strategies for English audio materials, and 3) learners’ responses to optimally designed English audio materials.

≪Q&A: 15:40 – 15:45≫

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6.15:50 – 16:10

「テーマ先行で映画・ドラマを活用する取り組み(実践報告)」

竹原文代(神田外語学院)

概要:本実践報告は、メディアリテラシーの向上を目指した英語の授業のあり方に焦点を当てている。ネットやSNSで拡散される情報を鵜呑みにせず、自己判断能力を養うための実践的な授業のアプローチを提案し、日米の文化や価値観の違いを理解するための授業における成果を報告する。

 授業の目的は、アメリカの映画・ドラマ・ドキュメンタリーを通じて、日本との違いを客観的に把握し、単なる比較ではなく、それぞれの独自性を尊重することにある。従来の教材では不足していた日米の文化的な相違点に焦点を当て、その理解を深めるための自作のハンドアウトを作成、ディスカッションを通じて、異文化理解を促進する取り組みを行った。

 授業の結果、履修者が従来のステレオタイプに基づく思考から抜け出し、より客観的かつ総合的な視点で異文化に接する姿勢が育まれたことを示す。

≪Q&A: 16:10 – 16:15≫

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閉会挨拶 (Closing) 

ATEM(映像メディア英語教育学会)東日本支部 2024年度・夏季例会発表募集

例会日時:2024年5月26日(日)                        

会場:麗澤大学新宿キャンパス

開催形態:対面開催(発表は会場で行います。オンライン発表はありません)

※遠隔参加する聴講者向けに、リアルタイム中継(配信)を検討しています。

対面開催で実施するため、発表者は会場にお越しください。聴講につきましては、会の盛況のためにもなるべく会場にお越しいただけましたら幸いです。

発表募集期間:2024年4月30日まで      

内容:例会テーマは特に固定はせず、各発表内容は発表者に一任いたします。「映像メディア英語教育学会」という学会名が示す通り、各種映像/音声メディアと英語教育が関連していれば受け付けます。領域も授業実践、教材開発、英語教育論(異文化理解教育等を含む)と幅広く捉えていただければと思います。そうした分野やトピックに関するワークショップ(※)のご提案も含みます。ご不明な点などあればご相談ください。

発表時間:発表20分に加え質疑応答5-10分を予定しておりますが、発表数や企画の有無などによって多少調整する場合があります。なお、発表のお願い(採否)については、応募締め切りから1週間程度でご連絡します。

※ワークショップ:発表者がファシリテーターとなり、特定のトピックに関する解説、および聴衆も含めた活動の実施、とお考えください。これまでに実施された例として、映像使用に関する著作権についての理解を深める講義、英語学習アプリの使い方に関する講座、英語で映画を撮る授業の実践体験、映画撮影技術の講座および実践体験等があります。なお、アクティビティなどが含まれる可能性も鑑み、ワークショップの実施時間は20-40分の枠内でご計画ください。

応募方法:以下の必要事項を電子メール本文に掲載し、ATEM東日本支部宛(ej-seminar@atem.org)にお送りください。なお、送信後3日経っても返信がない場合は、再度ご連絡いただけますようお願いいたします。

1.メール表題に「ATEM東日本支部発表申し込み」と記載

2.発表タイトル

3.発表者の氏名(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの氏名)       

4.発表者の所属(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの所属)

5.連絡先(メールアドレス; 複数名で1つの発表の場合はその発表の代表者の連絡先)

6. 使用言語

7.発表概要(日本語の場合は400字程度、英語での発表は200-300 words)

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Call for Presentations at the ATEM Higashinihon Chapter Study Meeting on May 26, 2024

Dear ATEM Members:

ATEM Higashinihon Chapter will hold a Study Meeting at Reitaku University Shinjuku Satelite Campus, on May 26 (Sun.), 2024. We are planning on making the meeting Face-to-face (Presentations will be made at the venue, no online presentations). Also, real-time live broadcast (streaming) is being considered for remote participants, but this is subject to change depending on circumstances, so please check the website for details.

We are calling for presentations on English education (language education) that uses visual and/or audio multimedia including movies, TV dramas, Youtube, etc. Your presentation should focus on class activities, the development of language teaching materials, theoretical or empirical studies, or cross-cultural communication studies, etc. We also welcome proposals for workshops on those fields or topics.

Each presentation will be 20 minutes with 5-10 minutes of Q and A. (This may be adjusted depending on the number of presentations and the related projects. Please note that you will be notified of your presentation request (acceptance or rejection) approximately one week after the application deadline. 

We will contact you about the details later. 

Application Period: To April 30, 2024

Acceptance notice will be sent by email around a week after the application deadline. 

We would appreciate it if presenters could come to the venue as much as possible to avoid possible networking problems. If you wish to make an online presentation from outside the venue, please inform us at the time of application.

When submitting a proposal, please provide the following information by an attached Word file to the ATEM Higashinihon Chapter Office 

(ej-seminar@atem.org). 

1 Please title your email as “ATEM Higashinihon Presentation Proposal.” 

2 Presentation title 

3 Name 

4 Affiliation 

5 Email address

6 Language of presentation

7 Abstract (400 letters in Japanese or 200 to 300 words in English)

「聖なる鹿殺し」(2017) ~秀逸なサイコホラー~

藤田久美子 進学塾TOMAS講師

(*注意:この文章には、物語の核心に触れる部分があります。映画をご覧になってからお読みになることをお勧めします。)

最近「哀れなるものたち」が公開され、いろいろ話題を呼んでいるギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督だが、同監督によるサイコホラー、「聖なる鹿殺し」(The Killing of a Sacred Deer)は、公開(2017)からほとんど7年が経過した現在でも、様々に取りざたされる映画である。ギリシャ神話からヒントを得た、一種の寓話であると言えるかもしれないこの映画だが、見終わった後には、何とも言えない嫌な感じを残す、所謂、“イヤミス”の類の映画である。その“いやな感じ”は、同時に、不気味な感じに繋がっていく。その不気味さとは、結局人間そのものの不気味さなのだが、その不気味さをいや増すために、様々な仕掛けが作られているのだ。

この映画は、心臓の手術という、かなりショッキングな場面から始まる。そしてそのバックに流れるのは、荘厳なレクイエムである。初めてこの映画を見た人は、“一体これはどんな映画なのだろう?”と、一種の怖いもの見たさに駆られて、見続けるのではないだろうか。

映画の主な登場人物は、ある心臓外科医と彼を慕うように見える少年、及び外科医の家族であり、初めのうちは、外科医と少年は一体どんな関係なのだろう、というミステリーが支配する。コリン・ファレルが演じる外科医は、一見したところ如何にも真面目な、家族思いの医者で、全米の心臓外科医の中でも相当な地位についている人物だということが示される。

ニコール・キッドマン演じる美しい妻も眼科医で、一家は二人の子供と共に、郊外の豪邸に住んでいる。しかし、この家族の会話の様子は単調で冷たく、家族の間に暖かい血が通っているようには感じられないのだ。こうした会話の調子は、話が進むにつれて時々流れる不気味な不協和音と共に、この映画の主旋律を作り上げる効果として出色である。

外科医は時々病院に訪ねてくる少年(バリー・コーガン、素晴らしい演技である!)に、かなり高価な腕時計をプレゼントしたりするので、観客は、“少年は医者の隠し子なのか?”と想像するかもしれないが、そうではないことが、物語の中盤ごろに明らかになる。少年は、医者を母と二人で暮らす小さな家に招き、母と彼とを結びつけようとする。頻繁に病院にやってきては、“母は最近魅力的になってきたし、先生を恋している。先生が母と結婚してくれたら嬉しい”などと言って、医者を悩ませる。少年の話には、父親のことがよく出てきて、父親は心臓の病気で死んだようだ、ということがはっきりしてくる。

あまりにも頻繁に自分を呼び出すようになった少年にうんざりし、同時に恐怖も感じるようになった医者に対し、少年は、“先生の子供たちに災いが起きる、それが正義なんだから”と言う。その後、先ず息子が突然歩けなくなり、娘も同じ状態になる。医学的には何の問題もないのに、そんな状態になった子供たちのことを不審に思った妻は夫の同僚の医者(麻酔医)から、夫が少年の父の手術の前に酒を飲んでいたこと、しかも、そうしたことは頻繁にあったことを聞き出す。

何年か前の出来事であり、証拠があるわけでもないが、医者に非があるのは明らかであるのに、彼は少年を家の地下室に監禁して、殺そうとさえする。その間にも、少年の予言の通り、息子の両目からは出血が始まる。医者を脅迫する少年は、家族の誰かを殺せば、何もかもが元に戻ると言う。恐ろしい少年の脅迫の言葉を聞いた医者夫婦の関係は最悪になる。妻は夫を“元はと言えば、皆あなたのせいだ”と言って、夫をなじるが、同時に、まるでマクベス夫人のように、夫に恐ろしいことを囁く。

「残酷だけど、息子に犠牲になってもらいましょう。私たちは、また、子供が作れるし、体外受精も可能だわ。」 ”I believe the most logical thing, no matter how harsh this may sound, is to kill a child. Because we can have another child. I still can and you can.  And if you can’t, we can try IVF, but I’m sure we can.”  (IVF=体外受精)

そして、遂に、医者は、家族皆を居間に集め、自分にも家族にも目隠しをして、銃を構えてぐるぐる回り、最後に息子を殺してしまう。この場面は、“家族の誰かを殺す”という、信じられないほど悲惨な、悲劇的な場面のはずなのに、何故か滑稽ですらある。何故なら、最も罪あるものであるはずの夫が、罪なき子供を殺すことになるのに、それほど苦しんではいないように見えるからだ。自分の行為が原因で子供たちが苦しむのだから、普通は、何よりも自分自身を責め、ひたすら後悔すべきではないだろうか。そして、少年に対して心から謝罪すべきではないだろうか。

最後の場面は、町のダイナーで食事を済ませた医者の家族が、少年を見かけて、何も言葉を交わさずに、店を出ていくところである。もちろん、息子の姿はもうない。家族は息子の命を犠牲にして生き延びたのだ。しかし一体、このままですべて終わりだろうか、という疑問が残る。いや、決してこのままでは終わらないだろうと誰もが感じるはずである。

少年は、ギリシャ神話の、宿命を司る神モイライの化身であろうか?ともあれ、この話は、一種の風刺的なファンタジーであろう。予言通りのことを実現させる少年も不気味だが、医者とその妻こそ不気味だという感じがぬぐえない。さらに言えば、自分さえよければ、と考える人間こそ、不気味なのだ。

“それぞれの関係が真の愛に基づいたものではないことを如実に示す、抑揚のほとんどない会話”、“宿命の神の手(あるいは悪魔の手)が下される時に流れる不気味な不協和音”、“やり場のない不安に駆られているのに無表情な医者夫妻”、そして何より、“医者夫妻をじりじりと恐怖に陥れる少年の存在”などが、この映画のサイコホラーの重要な要素として挙げられるであろう。

監督が意図したと言われるギリシャ悲劇との関連などが今一つはっきりしないなど、作品としての出来という点では十分ではない点もあるが、優れた脚本とこうしたサイコホラー要素、そして勿論、俳優たちの優れた演技に支えられて、この映画は、“罪と罰、“職業意識”、“家族の関係”、“経済的格差”等の問題、そして何より“人間とは何か?”についてのメッセージを見るものに突きつける、見ごたえのある映画に仕上がっている。