第13回 ATEM(映像メディア英語教育学会)東日本支部 支部大会発表募集

日時:2022年12月17日(土)                        

会場:東京工業大学大岡山キャンパス

開催形態:ハイブリッドの予定ですが、状況によっては開催形態を変更する可能性がありますので、HP等でご確認ください。

発表募集期間:2022年11月1日~11月20日      

内容:例会テーマは特に固定はしておりません。「映像メディア英語教育学会」という学会名が示す通り、各種映像/音声メディアと英語教育が関連していれば受け付けます。領域も授業実践、教材開発、英語教育論(異文化理解教育等を含む)と幅広く捉えていただければと思います。ご不明な点などあればご相談ください。

発表時間:発表20分+質疑応答5〜10分を予定しておりますが、発表数によっては多少調整する場合があります。なお、発表のお願い(採否)については、応募締め切りから1週間程度でご連絡します。

応募方法:以下の必要事項を電子メール本文に掲載し、ATEM東日本支部宛(ej-seminar@atem.org)にお送りください。なお、送信後3日経っても返信がない場合は、再度ご連絡いただけますようお願いいたします。

1.メール表題に「ATEM東日本支部発表申し込み」と記載

2.発表タイトル

3.発表者の氏名(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの氏名)       

4.発表者の所属(複数名で1つの発表の場合はそれぞれの所属)

5.連絡先(メールアドレス; 複数名で1つの発表の場合はその発表の代表者の連絡先)

6. 使用言語

7.発表概要(日本語の場合は400字程度、英語での発表は200-300 words)(日本語発表の場合は、簡潔な英語の説明文をお願いできれば幸いです。)

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Call for Presentations at the 13th ATEM Higashinihon Chapter Conference 

Dear ATEM Members:

ATEM Higashinihon Chapter will hold the 13th Chapter Conference at Tokyo Institute of Technology, Ookayama Campus, on December  17 (Sat.), 2022. We are planning on making the meeting hybrid, but this is subject to change depending on circumstances, so please check the website for details.

We are calling for presentations on English education (language education) that uses visual and/or audio multimedia including movies, TV dramas, 

Youtube, etc. Your presentation should focus on class activities, the 

development of language teaching materials, theoretical or empirical 

studies, or cross-cultural communication studies, etc. 

Each presentation will be 20 minutes with 5 to 10 minutes of Q and A. 

We will contact you about the details later. 

Application Period: November 1 to November 20, 2022

Acceptance notice will be sent by email around a week after the application deadline. 

When submitting a proposal, please provide the following information by an attached Word file to the ATEM Higashinihon Chapter Office 

(ej-seminar@atem.org). 

1 Please title your email as “ATEM Higashinihon Presentation Proposal.” 

2 Presentation title 

3 Name 

4 Affiliation 

5 Email address

6 Language of presentation

7 Abstract (400 letters in Japanese or 200 to 300 words in English; As for a presentation in Japanese, we would appreciate a very brief description in English.) 

  『ブルックリン』(Brooklyn)が描く、人間への温かい眼差し

学習塾TOMAS 講師(元白梅学園大学講師)

藤田久美子

2016年度公開の映画「ブルックリン」は、派手なアクションも、サスペンス的要素もないヒューマン・ドラマであるが、何度見ても感動的な映画である。第二次大戦後間もない頃にアイルランドからアメリカに渡った一人のアイルランド人女性の苦悩と成長を描くこの映画は、実際にアイルランド系であるシアーシャ・ローナンが主役のエイリッシュを演じ、アカデミー主演女優賞に輝いたが、単なる移民女性の話にとどまらない深さを持っている。

戦争には直接参加しなかったアイルランドだが、戦後の経済の停滞は、どの国とも同じで、エイリッシュのような若い女性には明るい未来が描けるような仕事もなく、彼女は、姉の知り合いの神父のつてで、アメリカに渡り、プルックリンで生活を始める。相当大きなデパートで店員として働けることになった彼女は、ホームシックの他に、客や同僚とのコミュニケーションがうまくできないことで苦労することになる。真面目な性格のせいもあるが、アメリカ人なら何でもなくできるはずのコミュニケーションが、彼女にはなかなかできない。その様子が次のような場面に、ユーモラスに描かれる。

           同僚:Did you go out last night?

   エイリッシュ:No.

             同僚:”I saw a movie with my boyfriend.”

                    “What did you see, Dorothy?”

                    “I saw The Quiet Man, Eilis.  They filmed it in Ireland.”

                    “Oh, I’m from Ireland.

                    “I know you are.  That’s why I thought you might be interested.”

こうした、”あるべき問答”まで教えてくれる親切な同僚だが、エイリッシュは、ただThank you.”と返すのみである。私たちには面白いこのような状況を乗り越えつつ、彼女は、段々にブルックリンでの暮らしに慣れ、ブルックリン・カレッジの夜間クラスで簿記を学び、無事卒業する。

地味だが、真剣に彼女を愛してくれるイタリア系のトニーという恋人を得て、彼女は漸く本当の幸せを感じるようになったが、その頃、最愛の姉のローズが急死し、彼女はアイルランドへ戻ることになる。故郷のエニスコーシーの町には、一人残された母がおり、懐かしい景色、懐かしい友人たちとの出会いがあったが、彼女は、この故郷で、人間としての成長を一段と促されることになる。

実は、エイリッシュは、アイルランドへ帰る直前に、トニーと結婚していたのだが、それは、二人きりの秘密で、だれにも知らせてはいなかった。母と再会して、本当は真っ先に話さねばならないことであったが、すぐには話せなかったのだ。姉娘を急に失った母に、アメリカ人と結婚して、この先ずっとアメリカで暮らすとは言いにくかったし、友人仲間の一人で、彼女に好意を持っているジムと結婚してくれたら、という母の願いを分かってもいたからだ。

しかし、なかなか本当のことを打ち明けられず、ジムと何度かデートする彼女を責められるであろうか?彼女はジムの気持ちをはっきり受け入れることはなかったのだから。アメリカでの暮らしで、周りの人々から羨望の目で見られるほど一段と美しく、洗練された自分を多少誇らしく思い、男性にもてることを楽しんだとしても、それは、人間としての当然の弱さではあるまいか?

そうした浮かれた気分に水をかけられ、真実の自分に向き合わねばならなくなる時がやがて訪れる。アメリカでのトニーとの結婚を知っている人がいたのだ。いわば目が覚めたようになったエイリッシュは、すぐにニューヨークへの船を予約し、母に真実を話す。自分がアメリカで結婚し、その人は自分を心から愛する素晴らしい人であること。彼のところへ帰りたいこと。自分のそばにずっといてくれると思っていた母にとっては辛いことであろうが、それこそが彼女の真実であった。

ニューヨークへ向かう船の中で、彼女は、初めてのアメリカに不安を感じている若い娘に、以前この娘と同じ立場だった時、同じように船上で年上の女性に言われたことを話す。

            Stand up straight.

                 Polish your shoes….

                 Think like an American

                 You have to know where you’re going.

「人間とは、何度も間違いをする存在であるが、そうした間違いを何度も犯しながら、自分の弱さを知り、許されて成長してゆく存在でもある」。この映画は、見るものに、このようなメッセージを送っているように思われる。