著作権問題専門委員会 Research Committee on Copyright Issues

著作権問題専門委員会 専務理事 Chair
藤枝 善之 (同志社大学)
FUJIE Yoshiyuki(Doshisha University)

著作権問題専門委員会 委員 Committee Member
井村 誠 (大阪工業大学)
IMURA Makoto(Osaka Institute of Technology)

著作権問題顧問 Advisor on Copyright Issues
甲野 正道 (大阪工業大学)
KONO Masamichi(Osaka Institute of Technology)




2020-10-16

ATEM著作権ガイドライン

ATEM著作権問題委員会

オンライン大会・研究会での映像使用に関する著作権ガイドライン

A.映像作品を「引用」する場合

研究発表者が自説の根拠になりうる材料として映像著作物の一部をコピーしてオンラインで参加者に配信・提示する場合、以下の条件をすべて満たすものについては著作権法第32条に定める「引用」と見なされる。

  1. 公表された著作物であること
  2. 自分の著作物と引用部分が区別されていること
  3. 自分の著作物と引用との主従関係があること(あくまでも自分の著作物が主であること)
  4. 公正な慣行に合致していること(ATEMでは、20年以上問題なく映像のコピーを使った大会・研究会を開催してきたという実績をもって、「公正な慣行に合致している」と判断する)
  5. 引用の目的上必要な範囲に限ること
  6. 引用の必然性があること
  7. 出所が明示されていること

「引用」と認められるものについては「公衆送信権」(第23条に定める著作権者の権利)が及ばないため、研究発表者は著作権上の問題なく、不特定多数の参加者にも映像を配信することができる。


B.映像作品を「共同鑑賞」する場合

参加者が共同で鑑賞できるように映像著作物を一作品として独立した時間に無料でオンライン配信する場合は、受信者が特定少数でない限り、第23条に規定される「公衆送信権」が及び、著作権者の許諾を得なければならない。逆に参加者が特定少数であれば「公衆送信権」が及ばず、著作権上の問題なく参加者に映像を配信することができる。



学校のオンライン授業での映像使用に関する著作権ガイドライン

 教育現場での著作物利用に関しては著作権法第35条に基づき、従来から、対面授業のための映像著作物のコピーの配布や、対面授業の様子を遠隔地に同時中継する際の映像著作物の送信は、権利者の許諾なく行えることとなっていたが、一方で、その他のインターネット送信については個別に権利者の許諾が必要とされていた。
 しかし平成30年(2018年)の著作権法改正により、学校の設置者が文化庁の指定する権利者団体(指定管理団体)に一括して補償金を支払う(令和2年度は例外的に無償)ことで、個別の許諾を要することなく様々な著作物を円滑に利用することができる制度(授業目的公衆送信補償金制度)が創設され、令和2年(2020年)4月末より施行されている。
 この制度により著作権上の問題なく、リアルタイムでのオンライン指導やオンデマンドの授業用に、また授業時間以外の予習・復習・自宅学習用に映像著作物のコピーを配信することができる。 (※ほとんどの学校がこの制度を利用していると思われるが、不安のある場合は個別に自分の勤務する学校の設置者に確認することを薦める。)