ATEM西日本支部20周年記念大会 研究発表募集

映像メディア英語教育学会(ATEM)
第20回ATEM西日本支部20周年記念大会
研究発表募集要項

2023年9月2日(土)に対面で「第20回ATEM西日本支部20周年記念大会」を京都外国語大学にて開催します。

1. 募集分野
ATEM西日本支部は、本大会での研究発表を募集します。本学会の趣旨に鑑み、英語教育、言語学、文学、文化研究、メディア研究、異文化コミュニケーション研究などの多様な専門分野から、映画や映像メディアの英語教育への活用を視野に入れた研究発表を募集します。

2. 応募要項
2.1 発表分野
研究発表:理論的、実証的な研究成果に関する発表を行う。
 25分(発表20分+質疑5分)。
実践報告:授業実践やプロジェクト実施に関する発表を行う。
 25分(発表20分+質疑5分)。
※著書の概要(説明)のみの場合は「研究発表」、「実践報告」のいずれにも該当しないものとします。
(出版社発表として著者が発表される場合については、事務局までお問い合わせください)。

2.2 応募資格
個人発表、共同発表共に、以下の(a)か(b)のいずれかに該当すること。
(a)ATEMの会員:2022年度までの会費を納入していること。(発表時に2023年年度の会費を納入していない場合は、研究発表費2,500円を支払うこと)
(b)未会員:研究発表費2,500円を支払うこと。
※プログラムに掲載する共同発表者すべてに適用します。

3. 応募要領
以下の項目を記載し、eメールにてご応募ください。なお、締切り後に選考を行い、申込者宛に事務局より採否の結果を6月上旬にeメールにて通知いたします。

*募集期間: 2023年3月20日(月)~2023年5月28日(日)
*申込先:ATEM西日本支部事務局 atemwestjp@gmail.com まで
*提出形式:ワードファイルに以下の記載事項を記入し、添付ファイルにて提出

<記載事項>
①氏名(日本語表記)
②Name(アルファベット表記)
③所属(大学院生の場合は「〇〇大学大学院」)
④連絡先eメールアドレス
⑤発表種別(「研究発表」か「実践報告」か選んでください。)
⑥使用言語(「日本語」か「英語」か選んでください。)
⑦発表タイトル(日本語で発表する場合、タイトルも日本語にしてください。)
⑧発表概要(日本語800字程度/英語400語程度)
(注)
発表タイトルは、漠然とした大きなタイトルではなく、映画や映像メディアを使って何をどう教えるのか、あるいは何がわかるのか等、発表の中身が見える具体的なものにしてください。
「発表タイトル」もしくは「発表概要」のいずれかに、対象となる映像メディアの種類(例:映画、TED、ニュースなど)や作品名・タイトル(例:Frozen, “To understand autism, don’t look away”など)を含めていただきますようお願いいたします(対象映画が複数ある場合は、代表的な映画を1つ選んで、「『タイタニック』などの用例を用いて・・・」などとしていただければ結構です)。

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About Applications for the 2023 Nishinihon Chapter Conference

Dear ATEM Members:

The 20th ATEM Nishinihon Chapter Conference will be held in person at Kyoto University of Foreign Studies on September 2nd, 2023.

1. Research areas
ATEM Nishinihon Chapter calls for papers focusing on the practical use of movies or multimedia for English education, based on various research areas such as language education, linguistics, literature, cultural research, media study and cross-cultural communication study.

2. Submission requirements
2.1 Presentation types
(1) Research presentation on theoretical or empirical studies (25 minutes, including 5 minutes of Q and A)
(2) Practical report on classroom activities or implementation of projects (25 minutes, including 5 minutes of Q and A)

Note: Presentations about a book (presenter’s work) do not fall under (1) or (2). If you would like to make a presentation about your book as a representative of the publisher, please e-mail the ATEM Nishinihon Chapter Office (atemwestjp@gmail.com ).

2.2 Eligibility
To be eligible to present, the presenter (or in a group presentation, all of the presenters) must be either
(a) or (b) below:
(a) An ATEM member who has paid the fiscal year 2022 (April 1st, 2022 – March 31st, 2023) membership fee. (Those who have not paid the fiscal year 2022 membership fee as of September 2 will pay 2,500 yen as the presentation fee. )
(b) A non-member who will pay 2,500 yen as the presentation fee.

3. Submitting a Proposal
When submitting a proposal, please provide the following information by an attached Word file to the ATEM Nishinihon Chapter Office (atemwestjp@gmail.com ). The submission period is from March 20th through May 28th, 2023. Notifications of accepted proposals will be sent via email in early June.

①Name
②Affiliation
③E-mail
④Presentation Type (Research presentation/Practice report)
⑤Language (Japanese/English)
⑥Presentation Title
⑦Abstract(Japanese 800 letters; English 400 words)

1) Please specify your goals or objectives of your presentation in your title, for example, how you will use movies to teach what, or what you can find out through movies, etc.
2) Please include the types (film, TED, news report, etc.) and titles of the visual media relevant to your research.

学校英語と映画のセリフ:映画で学ぶ英語の気づき

タイトル:学校英語と映画のセリフ:映画で学ぶ英語の気づき
投稿者:石原健志(大阪星光学院中学・高等学校)

映像メディアを英語学習に利用することで、「気づき」の度合いが高まることが期待されます。「気づき」はことばの学習に大切な役割を果たします。例えば、細かい文法規則がいつまでたっても身につかないのは、その知識が単に「理屈」として知っているだけにとどまってしまい、コミュニケーションの中で「使える」知識にならないためだと言われています。文法規則の定着は、学習者本人の気づきが大切だと言われています。肯定文から疑問文への変化や、英文法の穴埋め問題のような機械的な練習をいくら繰り返しても、そこで身につくのは、単なる記号的なやり方にとどまってしまいます。意味のある英語学習には場面設定のある練習活動が不可欠です。本稿では、映画『ハリーポッターと賢者の石』(Harry Potter and the Philosopher’s Stone, 2001)を使用して、中学で習う英文法の規則と映画の実例を照らし合わせ、英語学習の「気づき」に果たす役割について述べていきたいと思います。

最近の中学校の英文法書は記述が大変充実しています。『中学英文法 Fine [改訂版]』(渡辺, 2021)ではThere構文のthere is / are …に続く要素について次のように書いてあります。

「~」には不特定の名詞が入る。the・所有格の人称代名詞(myなど)・指示代名詞(this / that)など特定のものを指す語は使われない。
×There is the cat on the sofa.
(『中学英文法 Fine[改訂版]』p.144)

このような記述が中学校の英文法の参考書に記載されていることは、ひと昔前には考えられなかったのではないでしょうか。我々が思っている以上に学校英語が扱う英文法の記述は充実してきているのです。

しかしながら、このような規則を提示されるだけではなかなか英語学習は進みません。実際に映画を観てみると、ここで書かれた規則に反するように見える例も見つかります。次のセリフは『ハリーポッターと賢者の石』からのものです。

Ron: It’s a chessboard.(チェス盤の上だ)
Harry: There’s the door.(ドアがあるよ)
Hermione: Now what do we do?(どうする?)
<02:01:16>

このセリフでは、一見、先ほどの説明に反するようにThere’s の後に定冠詞付きの名詞句the doorが続いています。このようなセリフに出会うことは、英語学習の気づきに繋がる絶好の機会です。参考書に書いてあることと違う例に出会うことができるのが、映画など映像メディアの醍醐味です。ここで「例外に出会ってしまった。だから学校英語は役に立たない」としてしまうのは学習の機会を逃していることになります。例えば辞書を引いてみるのはどうでしょうか。そうすることで、今回取り上げた映画のセリフにおけるthere’s the 名詞句と学校英語の参考書に書かれた説明との違いに気づく機会になるでしょう。

英語学習は「気づき」を繰り返すことで英文法の理解が深まり、英語を使った様々なコミュニケーションの中で英文法のルールを使えるようになっていくのです。そういう意味で映像メディアは「英語の気づき」の宝庫だと言えます。また、中学英文法は英文法の基本ですが、必ずしも簡単であるわけではありません。「基本≠簡単」です。分かったつもりの中学英文法も、映像メディアの実例を通じて見つめ直すことで、きっと新しい気づきがあるでしょう。