支部大会開催中止(延期)について

今般のコロナウィルスの感染拡大の状況を鑑み、3月15日(日)に予定しておりましたATEM西日本支部第17回大会の開催を一旦見合わせることにいたしましたので、とりいそぎご連絡申し上げます。

発表者の先生方ならびに参加を予定されていた会員の皆様へは大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願いいたします。

なお、延期開催につきましては、その是非も含めて今後の状況を見て判断の上、改めてご連絡させていただきます。

事態の1日でも早い収束を祈るとともに、皆さまにおかれましては、どうぞご健康に十分留意されますよう、お願い申し上げます。

2020年2月26日
ATEM西日本支部
支部長       近藤暁子
大会企画委員長  松井夏津紀

「丁寧にするためにとりあえずpleaseをつけておこう」の間違い

2020年2月7日
投稿者:松井夏津紀(京都外国語大学・非)
タイトル:「丁寧にするためにとりあえずpleaseをつけておこう」の間違い

誰かに何かをお願いしたいとき、どのような表現を使っていますか。例えば、駅への行き方を教えてもらいたいとき、Please tell me how to get to the station. というようなpleaseを使った文を使ったことはないでしょうか。日本人は「please=どうぞ~てください」と習うため、「please=丁寧な依頼表現」であるという解釈をしている人が多く、そのためpleaseを多用しがちだそうです。しかし、pleaseという語には命令や指示を和らげる働きはあるものの、pleaseを添えるだけでその文が丁寧な依頼文になるわけではありません。

次のセリフは、『ウォーキング・デッド』の悪役ニーガン(レザージャケットを着て、有刺鉄線を巻いたバットを持った残虐な人物)が部下のサイモンに威圧的な態度で言うセリフですが、この場面では学習者があまり気にしていないpleaseを使う際の重要な要素を観察することができます。

Negan: Who the hell do you think you’re talking to? Are you confused about who we are? Are you confused about who is in charge? Are we backsliding, Simon? Please, tell me we’re not backsliding.(俺を誰だと思ってる?俺たちを勘違いしていないか?誰がボスだか分かっているのか?以前に逆戻りするか?教えてくれ、俺たちは逆戻りするのか?)<00:08:58>
『ウォーキング・デッド』(The Walking Dead, Season 8, Episode 5, 2017)

実は、pleaseが使われるときは、言われた人には言われた内容を行う義務があるという前提があるそうです。つまり、pleaseを使って何かを頼むときは、頼む側が相手にそのことを頼む権利があると考えている場合なのです。ニーガンが部下のサイモンに使っているpleaseには「どうぞ~てください」というような丁寧さのニュアンスはなく、むしろ相手が「言われたことをする義務がある」ということを示しています。(ちなみに、このあと、サイモンはWe’re not backsliding.(俺たちは逆戻りしない)<00:09:25> と、ニーガンに言われた通りのことを言っています。)
刑事ものの映画やドラマを見ていると、警官や捜査官のセリフにpleaseが使われていることがよくありますよね。次のセリフは文末にpleaseが添えられている例です。

Cop: Ma’am, you need to get back in your car, please.(車に戻ってください)<00:15:00>
『デスパレートな妻たち』(Desperate Housewives, Season 1, Episode 2, 2017)

Lisbon: Police. Philip Handler? May we speak with you, please? (警察よ。ちょっと話があるの)<00:13:53>
『メンタリスト』(The Mentalist, Season 1, Episode 3, 2010)

上記の例の場合、警官は職務上、女性に車に戻るよう促す権利があり、言われた女性は車に戻る義務があると考えられます。また、リズボン捜査官も職務上、フィリップ・ハンドラーという男性と話をする権利があり、またその男性はそれに応える義務があると考えられます。これらのセリフの例からも、pleaseを添えることにより、口調は丁寧になるものの、相手に伝えている内容は「依頼」ではなく「指示」であることが明確にわかります。

中学生のときに学習した「誰もが知っている簡単な表現」は、知っていると思い込んでいるために、大切な用法や意味を見落としているということが結構あるように思われます。簡単だと思っている単語や表現こそ、もう一度調べてみた方がいいかもしれませんね。