必然性を表すbe bound to

タイトル:必然性を表すbe bound to
投稿者:衛藤圭一(京都外国語短期大学)

学習者向けの英和辞典や文法書などでは、must よりも強い「義務」の意味を表す類似表現としてbe bound toが記述されています。この表現は元々動詞bind(~を縛る)の受身表現であり、文字通り「ある行為に縛られている」の意であることから、たんなる義務を表すというよりも、「必ず何かが起こる」という不可避性、つまり「「Aであれば、(必ず)Bになる」のような因果関係」を踏まえた未来の必然性を表す際に使用されます。たとえば下の(1)の例では、be bound toは話し手が疲労と睡眠の因果関係を踏まえて「必ずよく眠れる」という未来の必然性を伝えるために使われていますが、このように因果関係を表す接続詞ifとbe bound toは共起する傾向があります。

(1) Woman: And if you’re as tired as you say you are, then you’re bound to sleep better tonight. (そして、おっしゃるほど疲れているのなら、今夜は必ずよく眠れますよ)<00:11:53>
『デスパレートな妻たち』(Desperate Housewives, Season 4, Episode 8, 2007)

また、下の(2)でも、「カサノバのこれまでの振る舞いを考えれば、やつは間違いなくこうする」という因果関係を踏まえてbe bound toが使用されていますが、上の(1)と違って、文脈上必要のない限りはifなどのような因果関係を示す語句と共起することはありません。

(2) Pucci: I don’t know what he looks like. But he’s bound to be here.(カサノバの人相はわからんが、やつは必ず現れるはずだ)<01:04:06>
『カサノバ』(Casanova, 2005)

同様のことが次の例にも言えます。(3)では、話者の男性Barrettが、自分と同じように息子も必ずハーバード大学を優秀な成績で卒業し、判事になると考えている場面ですが、ここでも(2)と同じく言語化されてはいないものの、「自分の息子だから自分と同じような道をたどる」という因果関係を踏まえてbe bound toが使用されています。

(3) Barrett: I quite agree. He’s bound to be graduated with honors. (全く同感です。彼は必ず優等生で卒業します)< 00:32:06>
『ある愛の詩』(Love Story, 1970)

なお、(3)の字幕では未来を表す類義表現のwillで書き換えられていますが、必然性を表すbe bound toが使われていることからもわかるように、たんなる未来の予測ではなく、息子が優等生として卒業させられる(be graduated)ことが運命付けられているというニュアンスが伝わってくるセリフです。

以上のように、be bound toは因果関係を踏まえて必ず何かが起こることを伝える場合に使用されることをおさえておくと、ニュアンスを正しく把握する上で必ず役に立ちますよ。