“Why don’t you…?”はTOEIC L&Rでは必殺の談話標識!

タイトル:「“Why don’t you…?”はTOEIC L&Rでは必殺の談話標識!」
投稿者:倉田 誠(京都外国語大学)

本稿は「提案の表現」である“Why don’t you…?”という表現は、TOEIC L&RのPart 3では必殺の談話標識の役割を果たすことについて述べます。

下記の(1)のやり取りは『ワーキング・ガール』で主人公のテスが、上司のキャサリンに提案を持って行った際の会話です。キャサリンはテスのアイデアを玉案だと思い、盗もうと考えます。

(1) Tess: You think there is something there.(行けそうなアイデアですか?)
Katharine: Well, I can think it through for you. Why don’t you leave me your notes? I’ll have a look-see.(考えておいてあげるわ。あなたの手帳を置いていってくれる?あとで見ておくから。)
Tess: Okay. I’ve been trying to get into the Entrée Program, and this would be a big push.(承知しました。あの、私、証券マン養成コースに応募しているのですけど、これがうまくいくと大きな助けになると思いますので。)<00:20:57>
『ワーキング・ガール』(Working Girl, 1988)

太字下線を施したキャサリンの“Why don’t you…?”の文は単に提案を表す文ですが、実はこのパターンはTOEIC L&RのPart 3では設問につながる情報を明示する標識となります。ご存知の通り、Part 3の問題は2人または3人による2~3エクスチェンジの会話で成っているのですが、1つの頻出パターンとしてダイアログの中で何か問題(機械の故障等)が起こり、それに対して話者の一人が解決法を提案するというものがあります。その際にこの“Why don’t you…?”や“Why don’t we…?”が使われます。当該文または後続文はまさに解決法ですので、情報価値が必ず高くなります。そしてそこが必ず問われます。驚くことに、この必須のポイントはTOEIC L&Rを模して作った、所謂「TOEIC L&Rの非公式問題集」の筆者の「TOEIC名人たち」も知らない場合が多いです。「バイブル視」されているような超有名なTOEIC問題集にもこのポイントが編み込まれていない場合が多いことは残念です。

ではこの“Why don’t you [we]…?”のパターンの頻度を見てみましょう。「ATEM資格試験英語研究SIG」の有志がTOEICの新形式テストの公式問題集8冊と旧形式テストの公式問題集6冊に掲載されている計14冊(28テスト)を調査した結果、“Why don’t you…?”のパターンが22回ヒットしていることを確認しました。内訳はPart 2=5回, Part 3=16回, Part 4=1回でした。自明ではありますが、Part 3でのヒット数が最多であり、しかもその当該文またはその後続文の情報が設問になっています。次に“Why don’t we…?”のパターンは17回のヒットが認められました。内訳はPart 2=6回, Part 3=10回, Part 4=1回でした。やはりPart 3の頻度が最多であり、その当該文またはその直後の文脈が設問になっています。換言するとこのパターンはテストを受けると必ず1回は出題される必須パターンです。下記の(2)は“Why don’t we…?”の一例ですが、お約束通りその部分が問われています。

(2) Questions 38 through 40 refer to the following conversation with three speakers.
W1: Excuse me. Do you work at this museum?
M: Yes. How can I help you two?
W1: Well, my friend and I were planning to see the sculpture exhibit, but there’s such a long line of
people waiting to get in.
W2: Yeah, we’re really surprised. There’s usually no line at all. Is there a special event today?
M: Yes, there’s a free tour for children at noon, so a lot of families are here for that. In fact, the
museum’s going to be very crowded for the next hour or so.
W1: Hmm… OK. Nadia, why don’t we grab lunch at McSally’s and come back later?
W2: Good idea! I’ve been wanting to try that place!

40 Where will the women probably go next?
(A) To a park
(B) To a theater
(C) To a restaurant *
(D) To a school
(公式TOEIC Listening & Reading問題集7, Test 1, Part 3)

美術館の彫刻展を見に来た米国人女性(W1)と英国人女性(W2)ですが、子供対象の無料ツアーが正午スタートのため、1時間は家族連れで込み合うことを知りました。そこで米国人女性が英国人女性に太字の文を使って、「(先に)マックサリー食堂でお昼ご飯を食べない?」と提案します。その文が「美術館の混雑時を回避するための提案」になりますので、情報価値が高く、40の設問につながります。このようにTOEIC L&Rにおける“Why don’t you [we]…?”の意味合いを知っているだけで、自信を持って選択肢(C)を選べます。

上掲の「資格試験英語研究SIG」はこのような必殺の談話標識を集め、低中得点層対象の「目から鱗のテキスト」を開発中です。近い将来、成美堂から上梓されますので、乞うご期待!