YouTubeを使ったホテルイングリッシュ授業実践の報告

タイトル:「YouTubeを使ったホテルイングリッシュ授業実践の報告」
投稿者:金田直子(神戸女子大学・非)

「あそこのお煎餅屋さんはかなりおすすめですよ。」
皆さんならどう英訳しますか?クラスでこの質問をすると多くの学生が I recommend that rice cracker shop very much. と答えてくれます。文法的には正しいように見えますが、COCA (Corpus of Contemporary American English) で recommend と共起する副詞の上位は 1. highly 2. strongly 3. definitely でした。very much を含む実例は見つかりませんでした。このように文法的には正しくても実際には使われない英語表現が学生とのやり取りの中で多々出てきます。授業では「誰かに何かをお勧めする時の表現」は他にどんなものがあるのかを、YouTube の動画を見ながら学生に発見してもらいます。

このように、私が担当しているホテルイングリッシュを扱うクラスでは、接客時の基本的な英語表現を学びます。教科書にはリスニングやロールプレイなどのエクササイズが散りばめられていますが、CDを流してディクテーションをしたり、口頭練習をしたりするだけではそのフレーズが自分の言葉で、その場面で使えるようになるかは疑問です。そこで当該クラスでは、学習者にとって身近な映像コンテンツの一つであるYouTubeを補助的教材として活用しています。

YouTubeの動画を補助的教材として使用することで (1) 教科書で学んだフォーマルな表現と、実際に現場で使われている表現の橋渡しができる、(2)フレーズと映像で学習することでより深く記憶に定着させることができる、(3) 映像と共に学ぶことで行ったことのない場所や異文化などを擬似体験することができる、(4) 学習者が自分の興味に応じて動画を検索し学習を自律的に継続することができる、という4点において効果的であると考えます。またYouTubeのハード面の利点として日英語の自動字幕が選べることと、音声再生速度を調整できることが挙げられます。自動字幕に関しては一言一句正確に書き起こされているわけではありませんが、内容の大意を掴むには十分な精度と言えます。

YouTubeを補助教材として使用した当該授業では、ホテルのコンシェルジュが観光名所をゲストに案内するというユニットで学生には「訪日外国人客におすすめしたい神戸の観光スポットをネットなどを使って下調べしてくる」ことを宿題にしました。そして翌週の授業では Internationally me という YouTuber の神戸観光の動画を使い、神戸の名所を巡りながら、教科書で登場した表現とフレーズの学習をします。次に動画の中で「誰かに何かをおすすめする表現」として教科書で学んだもの以外にどんなフレーズがあるのかを学生に見つけてもらいます。

以下は一例ですが、must-seeを使い「必見の」という意味でおすすめのスポットという表現が登場します。

…so in this video, let me show you how you can travel around Kobe efficiently and visit the must-see places in just one day.
(YouTube: Kobe In A Day: What To Do And Eat In Kobe | Japan Travel Guide)

動画で様々な表現を学んだ後、学生は動画の中で自身が使ってみたいと思う表現を自分で選び、各自下調べをしてきたおすすめ観光スポットを紹介するペアワークを行います。

YouTubeの多くの動画には映画やドラマのようなきっちりと決められた台詞がありません。その時の感じたことを表現するという点ではより実践的でAuthenticな英語を学ぶツールの一つとも言えます。また、YouTubeには同じトピックでも様々な動画があげられているので、動画の検索方法を授業内で教えれば、学習者は自分の興味にあった動画を使ってどんどん学習を続けることができます。オンライン授業になり学習者はさらなる自律的学習力がもとめられています。我々教員も、学習者の集中力を維持させながら知的探究心をくすぐる授業をするために、彼らの文化に寄り添った教材研究が必要ではないでしょうか。