YouGlishが教える英語のアクセント

タイトル:YouGlishが教える英語のアクセント
投稿者:田畑圭介(神戸親和女子大学)

英語の話し手は英語のリズムを作り出すために、強い発声の語と弱い発声の語を文の中に配置しています。強く発声される語は一般的に内容語(名詞、形容詞、動詞、副詞)に属し、弱く発声される語は機能語(代名詞、前置詞、冠詞、助動詞、法助動詞)に属しています。例えば、(1)は次のように発声されます。

(1) a. I’ve WRITTEN the LETTER in FRENCH.
b. The OFFICE is OPEN at NINE.

太字大文字は強く発声される語を示していて、強弱の語発声の組み合わせが英語のリズムを生み出しています。

内容語と機能語の区別を認識することで、文における発声の強弱の基本が理解できますが、それでも英語のイントネーションの中には一筋縄ではとらえられない現象も存在しています。その一つが代名詞oneです。oneは代名詞であることから、機能語として認識され、実際に強く発声されません。

(2) a. CAN I borrow your RULER?
b. I haven’t GOT one.

(2a)の疑問文を作るcanと、(2b)の応答文で対照的に用いられているIは、ここでは強く発声されます。また(2a)のborrowは内容語ですが、can、rulerと同程度には強く言われないので、ここでは小文字で表記しておきます。(2)で強く言われる語は、(2a)ではcanとruler、(2b)ではIとgotになります。それぞれの語を強く発声し、文にリズムを生み出しています。

代名詞oneは、形容詞とともに用いられた時にも、弱い発声となります。

(3) The TRAIN was CROWDED, so we CAUGHT a LATER one.

THIS one、THAT oneについても、oneは弱く発声されます。機能語であるoneが弱く発音される事実は内容語との対比から容易に理解できます。
しかしながら、代名詞oneの実際の使用例を調べていくと、oneが強く発声される場面に遭遇します。YouTubeのビデオクリップが検索できるYouGlish (https://youglish.com/)のサイトでは、検索語句が用いられているシーンを順に再生してくれるので、イントネーションの把握に至極有益です。試しにwhich one isを検索すると、22,491件の用例が検出されます。▷|のボタンを押すと、次の用例に移りますので、どんどん用例の場面を聞いていってみましょう。実際のところ、whichに続く代名詞oneはどれも強く発声されています。YouGlishによって文単位の音声確認ができますので、本サイトを音声コーパスのように活用できます。

J.C.ウィルズ(2009)等のイントネーションの概説書を調べていくと、代名詞oneは、which、 last、right、wrong、first、only、theといった一部の語の後では強く発声されることがわかります。

(4) a. You took the LAST ONE!
b. Have you GOT the right ONE?

last one is、right one isのフレーズをYouGlishで検索すると、やはりoneが強く言われていることが確認でき、機能語の代名詞oneは弱い発声とは限らないことがわかります。実際、WHICH ONE is yours? といった、whichに後続するoneを弱く発声してしまう傾向が日本の英語学習者に見られます。英語学習者は「WHÍCH +ÓNE」のように強く発声されるoneの存在を認識し、英語イントネーションの習得にも意識を向ける必要があります。

本稿で紹介した用例は、渡辺和幸(1994)『英語のリズム・イントネーションの指導』(大修館書店)とJ.C.ウェルズ(2009)『英語のイントネーション』(研究社)からのものです。イントネーションの概説書とともにYouGlishで実例を聞き取っていくことで、弱形強形のアクセント感覚が自然と身についていきます。