「“I’m calling X…”はTOEIC L&Rでは正解を指す談話標識!」

2020年1月30日
投稿者:倉田 誠(京都外国語大学)
タイトル:「“I’m calling X…”はTOEIC L&Rでは正解を指す談話標識!」

本拙稿はビジネスシーンでよく使われる “I’m calling X…”という表現パターンを知ることは学習者の言葉の引き出しを増やすだけでなく、TOEIC L&RのPart 3やPart 4で頻出する問題に効率よく対応できる即効性があることを述べます。“I’m calling X…”のXは変数で、to do, about, because, in response to, in regards to等々が導く語句や節が生起し、その後に続く談話はそのX以下の内容に絞られます。

下記の(1)のやり取りは『ミセス・ダウト』で主人公のダニエルが、元妻のミランダが新聞に出した「家政婦募集」の広告について電話をしているシーンです。ダニエルは離婚によって離れ離れに暮らすことになった子供たちと再び生活を共にするために、住み込みの家政婦として潜り込むことを企てます。声優を生業にしているダニエルは七色の声を操る才能を持っていますので、このシーンでも地声を見事に女性の声に変えます。しかも米語ではなく、イギリス英語で貴婦人のごとく話すので元妻も完全に騙されます。

(1)
Miranda: Hello.(もしもし)
Daniel: Hello. I’m calling in regards to the ad I read in the paper. (もしもし、新聞で読みました広告に関してお電話をさせていただいているのですが、、、)
Miranda: Yes, well, would you tell me a little bit about yourself?(あっそうですか、では少し自己紹介していただけないでしょうか?)
Daniel: Oh, certainly, dear. For the past fifteen years, I’ve worked for the Smythe family of Elbourne, England. That’s Smythe, not Smith, dear.(もちろんですわ、私はここ15年間、イギリスのエルボーンのスマイズ家に仕えてまいりました。スミス家ではなく、スマイズ家ですわよ、あなた。)<00:30:59>『ミセス・ダウト』(Mrs. Doubtfire, 1993)(太字下線は筆者)

太字下線を施したダニエルの“I’m calling X…”の文によって、家政婦募集側のミランダはその直後のセリフで単刀直入に相手の家政婦としての経験を問う話に入ります。このように“I’m calling X…”は、ビジネス上の電話で相手と話を始める時に使う定型表現ですが、明確な談話標識の役目を果たします。つまり、この表現内やその直後には要用の情報があります。

ATEM会員の有志が集った「資格試験英語研究SIG」がTOEICの新形式テストの公式問題集6冊と旧形式テストの公式問題集6冊に掲載されている計12冊(24テスト)を調査した結果、48回の“I’m calling X…”の生起をPart 3とPart 4に確認しました。つまりこの表現は1テストあたり2回お目にかかる頻出の定型パターンです。上掲の公式問題集の計24テストの頻度はPart 3が25件で、Part 4が23件と生起頻度で拮抗しています。パターンの内訳は“I’m calling X…”の変数のXがto doが18回と最も多くなっています。それ以外ではbecause(11回)、about(10回)、その他(9回)となっており、そのほとんどにおいて“I’m calling X…”の部分の情報が問われています。下記の(2)はPart 4のテレメッセージの問題ですが、お約束通りその部分が問われています。

(2) (Questions 74 through 76 refer to the following telephone message.)
Hi Ms. Goldberg, it’s Henry. Since you’re out of the office today, I’m calling to report on how the meeting with the production team went. We started off by talking about your idea to use a less expensive manufacturer in another state for our watches. And the team did bring up one problem. Right now, it takes only one day for our products to get from the factory to the local retail stores. If we go with a new factory, then shipping could take a lot longer. Anyway, could you call me back so we can discuss it more?

74. Why is the speaker calling?
(A) To ask for assistance with a fund-raiser
(B) To schedule a factory inspection
(C) To confirm the details of a renovation
(D) To report on a recent meeting *
(公式TOEIC Listening & Reading問題集5, Test 1, Part 4:太字下線は筆者)

生産部との会議の結果を上司に報告するテレメッセージですが、冒頭の太字の“I’m calling to…”の情報を採取さえすれば、情報価値が高い要用が理解できます。そして必然的にその部分に関する設問が来る可能性が高いわけです。上掲の問題も正にそのパターンとなり、自信を持って選択肢(D)を選べます。

このような知見を前掲の研究SIGが開発した、“An Amazing Approach to the TOEIC L&R Test”(成美堂)に満載しました。このテキストはTOEIC L&R テストのデータを活用して編んだものです。他にもTOEIC L & Rで頻発する様々な談話標識を散りばめていますので、是非ご一読ください。