映画英語教育学会東日本支部2017年度夏季例会のお知らせ

<2017年6月25日(日曜)13:30~17:30 / 会場:麗澤大学東京研究センター >

映画「007」シリーズを題材とした異文化理解教育の実践例 (13:30-14:10)
熊谷摩耶 (湘北短期大学)

Metaphors Made Live:
Multimodal Metaphor Analysis in Animation (14:15-14:55)
Gerard SUAREZ (Tohoku University)

<25分休憩>

英語コミュニケーション能力向上のためのプロジェクト型外国語学習:
短編映画作成の適用と妥当性 (15:20-16:00)
Ryan SPRING (東北大学高度教養教育・学生支援機構)

アニメを通してみる文学-シェイクスピアと『黒執事』『絶園のテンペスト』(16:05-16:45)
松山響子(駒沢女子大学)

科学英語を学ぶ学生のための映像活用 (16:50-17:30)
小嶺智枝(明治大学)

*問い合わせ:e-mail(ej-seminar@atem.org)*事前申し込みの必要はありません。
*参加費無料 *例会終了後、懇親会を予定しています。

会場:麗澤大学東京研究センター http://www.reitaku-u.ac.jp/daigaku/campus/campus01.html
東京都新宿区西新宿6-5-1新宿アイランドタワー4階 新宿駅西口より徒歩8分

例会スケジュール(会場地図データ付き)印刷用データはこちら

2017年夏季例会 発表要旨集 印刷用データはこちら ※内容の詳細はこのページ下部にも記載あり

発表要旨
1. 映画「007」シリーズを題材とした異文化理解教育の実践例 (13:30-14:10)
熊谷摩耶(湘北短期大学)

本発表では、映画作品を題材とした異文化理解教育の実践例の報告を行いたい。そこで、映画を題材とし異文化理解を図ることを目的とした講義での実践例をとりあげ、その効果を検証する。当講義では学習者が身近に感じる映画作品の鑑賞をきっかけに、その映画作品の舞台となった国の歴史、習慣をはじめとする文化的な側面への興味を喚起することを目的としている。そこで、当講義での実践例をとりあげることで、映画作品がもつ異文化理解促進への効果および方法を論じたい。中でも、学習者たちが馴染みのある映画「007」シリーズの内『007 ロシアより愛をこめて』(From Russia with Love,1963)、『007は二度死ぬ』(You Only Live Twice,1967)を題材に、両作品の舞台となった国の歴史や史実、そして映画作品との関り等について、学習者がいかにして取り組んだのかについての報告を行う。

2. 英語コミュニケーション能力向上のためのプロジェクト型外国語学習:短編映画作成の適用と妥当性 (15:20-16:00)
Ryan SPRING (東北大学高度教養教育・学生支援機構)

近年は、日本の英語教育において、コミュニケーション力が重視されつつある。しかし、英語で会話する機会が少ない日本では、英語を外国語として考えている教育にとって、コミュニケーション力は読解や作文などのスキルよりも向上させることが難しい。コミュニケーション能力を向上させるために、先端的な教育法であるプロジェクト型外国語学習は興味深い挑戦の一つであり、その効果が高く評価されている。しかし、プロジェクト型外国語学習を教室で実施する際、どのようなプロジェクトを設定するかによって、効果や学習成果が異なる。そこで、日本で英語コミュニケーション能力を向上させるためには、短編映画作成をプロジェクトに設定するのが非常に適切であると考える。その理由として、短編映画作成において、作業の分担が明白であり、学生が一人で完成させるのが不可能であり、自分の考えを説明しながら他人の考えと合わせる必要があるなどが上げられる。

3. Metaphors Made Live; Multimodal Metaphor Analysis in Animation
Gerard SUAREZ (Tohoku University)

This research aims to analyze the phenomenon of “Fusion” in the American cartoon “Steven Universe”. It explores how the conceptual metaphor, FUSION IS RELATIONSHIP, manifests and affects elements of the show and what that entails to the viewers watching it. This study tries to fill-in the gaps of metaphor studies by approaching a relatively unexplored subject matter: multi-modal metaphors in series animation. To achieve this aim, a cognitive, linguistically framed discourse analysis is applied to a corpus consisting of seasons 1-3 of the show. The study finds that animation is a physically manifested blended space which the viewer can trace in order to learn about the cultural realities of the animators and how they construe relationships.

4. 「アニメを通してみる文学-シェイクスピアと『黒執事』『絶園のテンペスト』」
松山響子(駒沢女子大学)

「イギリス文学」の授業では、問題が二つある。まず、日本語で書かれていないこと、次に触れる機会が少ないことである。前者は翻訳が充実しているので、翻訳を紹介することで解決ができる。しかし後者は学生の趣味嗜好もあり難しい。本発表では後者に関して、アニメあるいは漫画を利用しての文学への導入を行うことについて話していきたい。特にアニメとなっているコンテンツは幅広い学生の周知を得ることが可能である。今回取り上げる『黒執事』と『絶園のテンペスト』はともに漫画からアニメ化されている作品である。『黒執事』はイギリス文学作品を数多く作品内で利用し、アニメの特典として英文学作品を利用した映像を作成している。『絶園のテンペスト』は作品そのものがシェイクスピアの『ハムレット』と『テンペスト』に依拠している。これらのアニメや漫画内で引用、パロディとして使われている原典を紹介し、原作を読むことを促していけると考える。

5. 「科学英語を学ぶ学生のための映像活用」
小嶺智枝(明治大学)

この発表では、理系学生用の科学英語クラスにおける映像活用について述べたいと思います。学生の学科は異なりますが、必修科目及び選択科目として受講する学生が対象です。科学英語のクラスは選択科目であるため科学関連の教材が使用されますが、必修科目においても(先生方のチョイスによっても異なりますが)科学系の教科書を使用される例が多いのです。このような傾向には、学生が自分の専攻に関連する文献を数多く読み、必要な英単語や重要表現を学ぶことができるメリットがあります。しかし、一方でどの英語のクラスも似たような教材を使用しトピックも練習コンテンツも重複するので、2年生になるころには多少飽きてくるというデメリットも生じます。そこで私は授業に映像を取り組むリスニングプラクティスを実践しています。ほんの短時間でも映像を導入するだけで、いつものCDとは異なる英語が聞けて、映像を見ることで変化が生じます。この発表では、動画や映像を活用する科学英語の授業をご紹介することで皆様と情報交換、共有を行いたいと思います。